14歳のマイク(トリスタン・ゲーベル)は、学校では変人扱いのはみ出し者。家庭は父親が浮気中、母親(アニャ・シュナイダー)はアル中でかまってもらえていない。そんな時にクラスに身体の大きい個性的だけど、ちょっと奇妙な雰囲気を持つチック(アナンド・バトビレグ)がロシアから転校してきた。
マイクは同級生のタチアナが好きだったが話すこともできないでいた。もうすぐタチアナの誕生日ということでこっそり彼女の肖像画を描いていた。ところがクラス全員が招かれるというのにマイクと転校生のチックだけがお呼びがかからなかった。
二人はけっこう気があって親しく話すようになる。夏休みが始まってすぐに、突然、チックは盗んだオンボロ車で地図にない「ワラキア」という場所に行こうと誘ってきた。
マイクは母親がアル中治療のために入院しているし、父親は恋人と2週間旅行に行くので小遣いを置いて出て行ったので支障はなく、チックと一緒に旅に出るが……。
ドイツ国内でベストセラーになって、世界中で翻訳されたヴォルフガング・ヘルンドルフの小説「14歳、ぼくらの疾走」の映画化。監督さんは『愛より強く』『ソウル・キッチン』『そして、私たちは愛に帰る』のファティ・アキン。
ちょっと無謀だが、こんな14歳の青春がうらやましい。主な登場人物は3人。その個性が際立っている。主役のマイク以外はほとんど家庭が描かれていないがなんとなくわかるという設定も◎
本当にこの子らが50年後、どうなっているのか、どういう運命をたどるのか知りたい気持ちでいっぱいになった。リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』が12年間同じ俳優で撮り続けた作品のように、50年後に同じ俳優で演じる続き作品も夢の話ではないと空想した。