I氏は1年以上前にエスカレーターの上から大きなキャリーバックが落ちてきて大怪我をなさり、最近リハビリが終わったばかりだ。
お話声はお元気そうで、やっとこの頃、近所のシネコンに行くことができたと喜んで話してくださった。この間は『セールスマン』を観たが、今週末から始まる『エル ELLE』が楽しみと、一本、一本じっくり丁寧に観ていらっしゃるご様子だった。
どこの映画祭にもお出かけになっていたI氏だったが「今度の東京国際に昼間一本ぐらい観に行った時にお会いできたら嬉しい、それに向けて体をならしておきます」と言ってくださった。
🎬『きっと、いい日が待っている』イェスパ・W・ネルスン監督/デンマーク
1967年、コペンハーゲン。貧しい家庭の兄弟で13歳のエリック(アルバト・ルズベク・リンハート)と10歳のエルマー(ハーラル・カイサー・ヘアマン)は、病気の母親から引き離されて少年養護施設に預けられる。
その施設のヘック校長(ラース・ミケルセン)の元、しつけと称した体罰が常時行われて、上級生からのいじめも横行、エリックたちはその環境に馴染めずにいた。
唯一、二人を心配してくれる叔父さんが施設を訪ねてきて「一緒に暮らせるように頑張るよ」という言葉を頼りに辛い日々を送っていたが……。
デンマーク・コペンハーゲンの養護施設で起きた実話をもとにしている。
こんなひどい環境の中で「宇宙飛行士になりたい」夢を持ち続けるエルマーが、どうやって希望を叶えるのか、それとも夢は夢で終わってしまうのかと、ミッキーには孫世代の男の子二人をハラハラしながら観た。
学校内部のいろんな問題はどこの国でも起こり得たことで、ここが特にひどいとは思えない。男の子を性の対象にすることや薬物を飲ませるなどはもっての他だが、校長が、厳しいのは「子のため」と思っていた部分もあったと思う。
印象的なシーンがあった。彼が正直に「宇宙飛行士」の夢を語ると周りは大笑いする。それでもずっとこの夢を「持ち続けいく」健気さに感動した。
☆ラース・ミケルセンさんはマッツ・ミケルセンのお兄様、冷酷なお顔の青筋は当分忘れそうもない。兄弟を演じた男の子たちは演技の経験はあったが映画出演は初めて。信頼し合う眼差しが美しかった。