へンリ・ミトワ氏は、1918年に横浜でドイツ系アメリカ人の父と新橋の芸者だった日本人の母の間に誕生する。
1940年、単身アメリカへ。戦争中は日系人強制収容所で過ごす。戦後、ロスアンゼルスで家庭を持つ。
1961年帰国。茶道や陶芸など日本文化に造詣が深い彼は文筆活動も行い、1970年代からは京都にある天龍寺の禅僧として日々を過ごしていた。
だが、80歳を前にして突然、童謡「赤い靴」をモチーフにして映画を撮りたいと言い始めて…。
ドキュメンタリーはテーマの特異さも決め手だが、登場人物のユニークさも重要なポイントだ。ドキュメンタリー作品としての作りもユニークで、ドラマ、アニメを駆使している異色作。
この作品の主人公は「変人?奇人?いやいや粋な人?」と、そういう点では今年ピカ1の人だ。監督さんは『ヨコハマメリー』の中村監督。
ミトワ自身の生い立ちも、見た目は白人なのでスパイに間違えられたり、日系強制収容所で辛い体験をしたりと波瀾万丈だ。
特に、晩年になって突然「赤い靴」の映画を作ると宣言した時から、家族や周りに迷惑をかけるが、彼の飄々とした行動と彼独特の皮肉まじりの言葉に絡み取られるように観入ってしまった。
☆ドラマ部分では、青年時代のミトワをウエンツ瑛士、母親を余貴美子、ナレーションは仲村トオル。