親戚が経営するバーで働くアナ(ルト・ディアス)は小さな息子と二人暮し。夫は宝石店を襲った罪で服役中だ。もうすぐ出所だが今後の生活に不安を抱いていた。
そんな中、バーのお客に無口だが真面目そうで金払いのいい男ホセ(アントニオ・デ・ラ・トレ)が現われ、好意を抱き始める。しかし、ホセは宝石店強盗のとき、客で来ていて巻き添えで死んだ被害者遺族だった。
これ一見、地味だが、男の秘めた「敵討ち」の気持ちが、半端ではない。それもいきなり大人しそうな男が狂ったように襲い掛かるのだ。その差があまりにも大きいので驚いた。
ところで主演のアントニオ・デ・ラ・トレさんはどこかで観た方と調べてみたら、なんと『カニバル』の主演男優 ❗️
美しい女性を殺し解体し整然と冷凍庫に保存する。そして静かに静かに食する……でも本当に愛した女性には手が出せず、といった静かな男を演じていた。
この新作でも静かな男を演じている。彼はスペイン一の「静かな男」俳優だ。
🎬『さよなら、ぼくのモンスター』ステファン・ダン監督/カナダ
将来はメイクアップ・アーチストになりたいと、ニューヨーク大学の映像に関する科に送る資料を制作している高校生オスカー(コナー・ジェサップ)は、女優志望の同級生ジェマに協力してもらって、いろいろなパターンのメイキャップをして写真を撮っていた。
そんな時、彼のバイト先きのスーパーにアルバイトの青年が入ってきた。彼の名はワイルダー。オスカーは一目で魅了されて……。
チラシに「グザヴィエ・ドランが生んだカナダから、また新しい才能が誕生」と書いてあった。ステファン・ダン監督が確かに才能のある監督だと思うが、グザヴィエ監督を意識しすぎているのではないかと思った。
自分の中にある「異物」が腹からでるシーンや飼っている「しゃべるモンスター」など揶揄するシーンの数々に彼自身の悲痛な思いが伝わってきた。音楽の使い方にも意外性を感じた、ストーリーより音楽に独自の感性があるように感じた。
この若い監督さんが、今後、どんな作品を作っていくのか楽しみだ。