暑い中、本当に来て良かった監督の工藤栄一さんを知らなかったが、時間があったらもう一回観たかった。
『野獣刑事(デカ)』工藤栄一監督/1982年
女子短大生殺害事件が起きたので、大滝刑事(緒形拳)も捜査に加わった。彼は仕事はできるが勝手な行動をしたり、平気で上司にくってかかったりするので刑事仲間では浮いた存在だった。
この頃は、自分が逮捕して刑務所に入れた阪上(泉谷しげる)の内縁の妻(いしだあゆみ)と一緒に暮らしていた。もうすぐ、その阪上が出てくるが、その時はその時だと気にしていない様子だ。
(出てきてから3人と男の子で暮らすが微妙に時間をずらす暮らしぶりにちょっと笑えた。男の子は阪上といしだあゆみの子)
一方、事件の手がかりを大滝が見つけるが、上司(成田三樹夫や藤田まこと、若い刑事に小林薫 だけど全然動かない……)や同僚は相手にしない。
しばらくして同じような事件がまた起こってから動きが大滝に向いてくるが、大滝の私生活の方が阪上のヤク中(素晴らしいヤク中演技!)などで、どんどん先が見えなくなる。
とにかく面白い。しまい方はちょっとダレるが、そこも人情的にフィルムが切れない「潔くない」ところがいい。
監督さんは成田三樹夫や藤田まことをほっといてまで「緒形拳」に惚れ込んでいたのかもしれない。
いしだあゆみさんは高倉健さんの相手役の時よりずっといい。痩せた身体に、男にいいようにされてもあまり文句言わない「はかない」色気が漂っていた。
カーチェイスも抜群、カメラもいい。500円でこんないい映画を観せて貰って申し訳ない気分だ。