本映画祭代表の宮沢氏が挨拶されたあと、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作でゲイの家族を描いた漫画「弟の夫」の漫画家、ゲイ・エロティック・アーティストの田亀源五郎さんのご登壇。話題沸騰中の「弟の夫」のお話などを聞かせていただいた。
🎬『僕の世界の中心は』ヤーコプ・M・エルヴァ監督/ドイツ、オーストリア/115分/日本初上映
サマーキャンプから帰ってきた高校生フィル(ルイス・ホフマン)は、双子の姉と母の仲が険悪になっていることに気づく。家の雰囲気が悪いので、残りの夏休みを女友達・カットと遊び回っていた。
新学期が始まると新入生のニコラスが同じクラスに入ってきた。カットは女の勘か「あいつには用心して」という忠告を聞かずに、間も無くフィルはニコラスと恋に落ちる。
これはこの映画祭の分類分けでは「ゲイ」映画だが、個性的な「家族」映画だ。出てくる俳優さんも個性的で、主役を演じるのは『ヒトラー忘れもの』で2015年東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したルイス・ホフマン。
横顔がとっても素敵なルイス・ホフマン、ヒトラーの忘れものの1年後に、この作品をものにしている。この若さ、このナイーヴさ、陽の光を眩しそうに見る目、ニコラスの一挙一動に嬉々とする様子など、ミッキーは孫を見る感覚で魅入ってしまった。
フィルの母親は自由奔放な人で男の出入りが激しい。その度にフィルと姉は馴染んだ同居人と別れ、「家庭」の崩壊に傷つく。自分たちの本当の父親についても一言も教えてくれない母親。
そんな母親は、初めてニコラスとデートする時の助言がふるっている。「したいことはどんどんやって ! でも相手の言葉を鵜呑みにしないでね」と言う。自分の体験からくる含蓄のある言葉とも思えるが、息子がゲイなどにはビクともしない母親だった。
いろんな問題抱えているが、全体の雰囲気は湿っぽくないのが気に入った。これは公開されても、ある程度のところまで行きそうな気がする作品だと思う。