母を亡くしたオルガ(ユスティナ・スワラ)は心身を病んでしまい、検察官の父親ヤヌシュ(ヤヌシュ・ガヨス)に対して心を閉ざしてしまう。ヤヌシュ自身も妻亡くした喪失感から逃れられず、検察官としての仕事上、人の死に無感覚になっていく。
そんな二人はお互いにどう接してよいかわからず、どんどん溝が深まるばかりだった。
摂食障害で痩せほそってしまったオルガを見かねてヤヌシュは精神病院に入院させる。そこで担当になったセラピストのアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)から、声を出す、感情を出すなどの独創的な訓練を、同じ精神の病を持つ女の子たちと一緒に治療を受ける。
ヤヌシュは相変わらず凄惨な事件現場をみても、すぐに平気で食事をするなど部下から怪訝な目で見られる。彼はオルガとは正反対に太っていく。
そんな中、アンナの開く「霊と交信」する会に参加したヤヌシュは……。
霊と交信するなんて…と面白半分で観たが「自分が死んだことをわかっていない」魂はあってもおかしくないと思う。セラピストのアンナはさまよっている霊が見える女性で彼女自身も大きな喪失に苦しんでいる。
母が亡くなってやせ細った娘をもて余す父。でもそれなりに愛情も義務感もあって、どうにか立ち直らせようという気持ちは持っている。
そんな父親の仕事場の出来事、娘の治療の様子、セラピストの日常の生活や行動に焦点を当てて描いている。時々、父娘の様子を亡くなった母が見守っているような映像を感じることができた。
好き嫌いが分かれる作品と思うが観た後は、誰かに「気にして貰ったり、遠くから見守られていたり」する幸せを感じた。
☆女性監督さんで、第65回ベルリン国際映画祭で監督賞となる銀熊賞を受賞。ポーランドのイーグル賞で主要4部門を受賞。