🎬『特別捜査 ある死刑囚の慟哭』クォン・ジョングァン監督
警察官のピルジェ(キム・ミョンミン)は暴力事件を起こしてしまい警察を首になってしまったが転んでもただでは起きない性格で、退職してすぐに「犯罪者たちに弁護士を紹介する法曹ブローカー」として働きだした。相棒に若手弁護士(ソン・ドンイル)の協力で仕事は順調に進んでいた。
そんなある日、ピルジェはある殺人事件の犯人から手紙を受け取る。内容は無実を訴える切実な想いが書かれていた。
韓国映画だから財閥がらみの悪巧みの話が本当に思えてくる。財界、司法、政治の癒着が1人の男とその娘の人生を暗転させる。盛りたくさん過ぎて話がこんがらがるところもあったが、冤罪で苦しむ男キム・サンホの名演と今年4月にお亡くなりになったキム・ヨンエの財閥奥様の貫禄たっぷりの演技が見事だった。
🎬『善悪の刃』キム・テユン監督
約17年前、韓国でタクシー運転手殺人事件が起き、唯一の目撃者だった10代の少年ヒョヌ(カン・ハヌル)は刃を持っていたというだけで警察の捜査で濡れ衣を着せられて、刑務所で10年過ごした。
今は盲目の母親の海女さん(キム・ヘスク)の働きでどうにか実家で暮らしているが過去の罪のためにまともに働くことはできない日々を送っていた。そこに追い打ちをかけるように被害者に払うお金の催促がきて困り果てて無料弁護奉仕団に相談に行く。
一方、弁護士のジュニョン(チョン・ウ)は、巨大なローファーム代表に気に入られようと無料弁護奉仕をしていて、ヒョヌの事件を知り名声を得る良い機会だと相談に乗ったが……。
2000年に韓国で起こった薬村五叉路タクシー運転手殺人事件を元に作られていた作品。初めこそ大弁護士事務所に入りたいとか名を売るためであったが、ジュニョンが警察上層部のやり方に憤りを感じ、何事にも恐れず諸悪の根源に向かっていくうちにこれが同じ人だろうかと思うほどお顔がしまっていい男に成長していった。見応えのある作品だった。
🎬『犯人は生首に訊け』イ・スヨン監督
医師のスンフン(チョ・ジヌン)は離婚して京畿道の町に越してきた。そこでは未解決の連続殺人事件が15年も続いていた。
新しい生活にも慣れてきた頃、漢江の解氷と共に首と手足が切断された女性の死体が浮かび上がってきた。スンフンの住んでいるマンションの大家は1階で肉屋と精肉食堂経営していて、そこの老人チョンがスンフンの病院に診察に来た。
認知症ぎみのチョンが、診察中にうたた寝をした時に「頭は冷凍庫にある…」などと寝言で恐ろしい事を言っているのを聞いたことがきっかけで、スンフンは連続殺人事件に精肉食堂の一家が関わっているのではないかと疑いの目で見るようになった。
一番期待していたががっかり作品だった。でも、不気味さだけは一人歩きしてミッキーを最後まで眠らせなかった。