2017年07月09日

10年後の架空の香港を描く 7月22日公開『十年』

今から約10年後の2025年の香港が舞台。中国政府の影響力が強まる香港をテーマにしたオムニバス映画。製作費わずか50万香港ドル(約700万円)。

香港の人々は十年もたたないうちに現実になってしまうと危機感を持ち、映画上映時から満席になっているとか…。どこの国においても共通する点が多々あって映像から目が離せなかった。

2016年の香港電影金像奨で最優秀作品賞に輝いた。

🎬『十年』クォック・ジョン、ウォン・フェイパン、ジェヴォンズ・アウ、キウィ・チョウ、ン・ガーリョン監督/香港/108分/7月22日より新宿K's cinema (ケイズシネマ)他にて全国順次ロードショー公開

第一章「エキストラ」クォック・ジョン監督

国の安全法を議会で通すために、政治家と黒社会が手を組んで事件を捏造する。チンピラ二人は要人を「暗殺するマネだけ」と口車に乗せられ実行するが、どさくさに紛れて口を封じられてしまう。そして「安全法案」の必要性を知らしめるくだりに鳥肌がたった。

第二章「冬蝉」ウォン・フェイパン監督 

開発のために取り壊される家。家のあらゆる物を標本にしようとする若い夫婦。最後、夫は自分自身を…。映像と短い台詞に辛辣なユーモアを感じた。

第三章「方言」ジェヴォンズ・アウ監督

北京語が話せないタクシー運転手。駅や空港で客待ちできないなど営業地域がだんだん狭まくなって来る。家族でさえ北京語を話し広東語は否定される。仕事からも家庭からも、もう一つ、北京語対応のカーナビからも疎外される中年男の悲哀が描かれていた。

第四章「自焚者(焼身自殺者)」キウィ・チョウ監督 

安全法が成立した2025年。香港独立を目指す青年が英国大使館前で焼身自殺をする。その人物の名前も公表されず・・・最後、悲劇的すぎて胸の詰まる思いがした。

第五章「本地蚕(地産卵)」ン・ガーリョン監督

雑貨屋を営む親子は卵に「本地(香港産)」という文字を使ったことで、違反を探し回る「少年軍」から卵を投げられる。言葉狩りに抵抗する父、いやいや「少年軍」に入っている息子。「人の言うことを頭から信じてはダメだ。自分の頭で考えろ」と静かに諭していた。
posted by ミッキー at 06:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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