2017年07月05日

『しあわせな人生の選択』センチュリーシネマにて

🎬『しあわせな人生の選択』セスク・ゲイ監督/スペイン、アルゼンチン

フリアン(リカルド・ダリン)はスペインで舞台俳優として活躍し、愛犬トルーマンと暮らしていた。一方、トマス(ハビエル・カマラ)はカナダの大学で教えていて家族と裕福に暮らしていた。2人は昔から大親友だったが、忙しさに紛れてそれぞれの人生を送っていた。

そんなある日、連絡もせずにトマスがフリアンを訪ねてきた。来た理由はフリアンのいとこのパウラ(ドロレス・フォンシ)が、フリアンの身体の調子が悪いと知らせてきたからだった。

フリアンは思うところがあって、無駄な治療をやめ、身辺整理を始めていた。そのことについて意見や説教されることを嫌がり「帰ってくれ」と言うが、トマスは予定どおり4日間はフリアンと共にいると動じる様子はない。

気まずい雰囲気も次第に昔の遠慮のない関係に戻って、フリアンとの残り少ない時間を過ごすが……。

深い感動を覚えた。自分ひとりで観ている感覚になった。とっても辛いことをミッキーにだけ相談されているような(うまく表現できないが)、そんな気分になった。

死を覚悟して、生活を整理していくフリアンは、過去にいろんな恋愛をしていてけっこう人生を謳歌した男で、きっと「俺は運のいい男だ」と思った時期もあったはずだ。

そんな男が潔く無駄な治療を止める、そして死を迎える……その間に片付けないといけない雑多なことがたくさん出てくる。そのひとつ一つに「親友の知恵とお金」をもらって解決の糸口を探っていく。

覚悟した「死」が遠くに見えたり、反対にすぐそばにあったり、登場人物も観ている者もその振り幅に翻弄されているような気持ちになった。お一人での鑑賞をお薦めする。

☆スペインの第30回ゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞受賞の最多5冠に輝いた作品。フリアン役は『瞳の奥の秘密』のリカルド・ダリン。トマスを『トーク・トゥ・ハー』のハビエル・カマラが演じている。
posted by ミッキー at 21:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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