イタリア・トスカーナにある女性のみ収容されている精神科グループホームが舞台。広大な敷地には農場もあって思い思いに暮らしている。その中で偉そうに命令ばかりしているベアトリーチェ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)は「私は伯爵婦人、ここは私の一族が所有する地よ」といつもふんぞり返っている。
そこに痛々しいほど痩せほそったドナテッラ(ミカエラ・ラマッツォッティ)が入所して来て同室になる。誰にも好かれないベアトリーチェだが、この若い女とは仲良くなって……。
イタリアは1999年に「バザーリア法」が完全施行されて「精神病院を無くした国」だ。もちろん世界ではこの国だけだ。だから精神病院のかわりに緩やかな精神科グループホームが舞台になっている。案外、自由で昼間は農園で働いたり、大きなお店でアルバイトしたりしてお金を稼いでいる。
ベアトリーチェはおせっかいおばさんで指図ばかりしてちっとも働かない。誰とも同室になりたがらなくて困り者だったが、新しく入ってきた全身刺青のドナテッラには、いろいろと世話をしてドナテッラも頼りにする。
二人はアルバイトの賃金を貰ったので迎えのバスに乗らないで、反対方向のバスに乗ってしまう。もちろん、もっともっと自由を求める気持ちをお供にして・・・。
ここから始まる凸凹コンビの二人の行く先々で、二人の過去が露わになってくる。喜びと悲しみと悔しさがいっぱい詰まっているので、ミッキーはトスカーナの風景はほとんど目に入らなかった。公開されたら今度は景色もたっぷり楽しみたいと思っている。
☆ヴァレリア・ブルーニ・テデスキさんの時々垣間見せる「狂気」の表情がとっても素晴らしく、声のかすれ具合も素敵だった。