評判のいい女性弁護士のディアーヌ（ヴィルジニー・エフィラ）は、女癖の悪い夫と離婚して３年が経つが、新しい恋とは無縁だった。だが元夫とは仕事上のパートナーで喧嘩が絶えず、いつもイライラしていた。
そんなある日、久しぶりに会った女友だちと愚痴っていたレストランに置き忘れた携帯を拾ってくれた男・アレクサンドル（ジャン・デュジャルダン）から「携帯を拾ったが、困っていると思って自宅と書いてある番号にかけて見た」と電話がかかってきた。
数分やり取りしていて知的でユーモラスな口調に、心動かされたディアーヌは早速翌日に会うことにした。
携帯を拾ってくれた男性が「知的でハンサムだけど身長136cm」というのはチラシにも書いてあるし、原題は『Un homme à la hauteur』身の丈に合った人という意味らしい。格言じみているが…。
今から半世紀前のミッキーのお見合いがまさにこれだった。仲人が「振袖か森英恵の洋服で」という注文だったので粧し込んで行ったが、先様はすでに座っていた。あまりジロジロみなかったのだが、最後に2人だけになった時はじめて背の低さに愕然とした。
釣り書なんか母まかせだったので、見た瞬間からどうやって断ろうと頭がいっぱいになった。ミッキーは157センチ、中ヒールの靴。相手がそれより５センチは低かった。次男だし家は建ててあるし、父親のいない家庭だから我慢しないといけないとは思っていたが、これは頭から断ると決めていた。
でも心配することはなかった。その日のうちに向こうから断られた。理由は忘れたけどきっとミッキーの表情でわかったのだろう。そんな昔のことを思い出した。
この映画にしたってアレクサンドルが趣味が広く、金持ちでなかったら結ばれないに決まってる ! なんて力んで見たが、そんなミッキーの不満をよそに、お二人は幸せに❤️ というフレンチコメディだ。
