ストーリーは
パリに住む主婦キャロリーヌは疎遠だった実母の死の報を受けて南フランスの田舎にある母親の山荘に行く。そこにはパティという管理を任された中年の奔放な女がいて、初対面というのに自らの性体験をあけすけにしゃべり出してキャロリーヌを唖然とさせた。その翌日、突然部屋に安置していた母親の遺体が消えてしまい…。
というもの。この中に幽霊、屍姦愛好家(映像はないが)がトッピングされているのだ。大人のコメディと書いてあったが笑い声は一回も上がらなかった。
まぁ、そういうわけで、今日一番はラピュタ阿佐ヶ谷に安心して楽しめる昔の日本映画『男は愛嬌』を観に行く。
🎬『男は愛嬌』森崎東監督/1970年/ラピュタ阿佐ヶ谷にて
兄・オケラの五郎(渥美清)は帰ってくる度に騒ぎを起こす遠洋漁業の船員、弟・民夫(寺尾聡)は気持ちの優しい工員。ボランティアで保護司をしている。この兄弟が少年鑑別所から出てくる隣家の娘春子(倍賞美津子)を巡ってあわや対立することになるが…。
屁理屈と行動力のある渥美清の芸達者ぶり、純情な寺尾聡の奮闘ぶりが笑いを誘っていた。
脇の役者それぞれが生き生きと描かれていた。(特に財津一郎が面白かった)
流れてくる歌は藤圭子の🎶夢は夜ひらく、時代は大阪万博の頃か。勢いのある日本の時代を堪能した。
劇場は予備椅子まで満員。
🎬『リトル・マン』ラデク・ベラン監督/チェコ/2015年/EUフィルムデーズにて
主人公は孤独を好む小さな紳士。彼は森の中に小さな木造の小屋を建てて一人静かに暮らし、これ以上の幸せはないぐらいに思っていた。
1日1回くる郵便配達人が「うちに遊びに来いよ」と誘ってくれても生返事をするばかり。外に出るのは屋外に建てたトイレの時だけだ。
そんな彼だったがこの頃、夢で「お前には足りないものがある」と言う声が聞こえて飛び起きることが度々あった。自分に足りないものなどない。家も、暖かいベッドも、食べ物もある。足りないものなどないはずなのにと不思議に思い、その意味を知るために旅に出ることにした。
EUフィルムデーズの作品。前もって紹介文を見ないで行って「人形劇」と聞いて少し気落ちした。どおりで子どもがいるわけだ。
ストーリーも単純、友達や友情がかけているというテーマで、自然の風景の中で木造りの人形を頭から棒が出ていて棒の先を動かして演技させている。見るからに手作りの人形劇だった。
だが観ていくうちにそんなことは頭からスッと消えて物語の中に入り込んでしまった。素朴さの中に格言と童心がいっぱいつまっていた人形劇だった。
チェコからプロジューサーの方が来日されて実際撮影に使われた人形を見せてもらったが、20センチぐらいの小ささだった。自然の風景の中でこの小さい人形が自然に入っていた。そのバランスをとるためにいろんな試行錯誤があったことなどを語ってくれた。