アメリカの農家で育ったマリー=ルイーズ・フラー(ソーコ)の夢は女優。父親を亡くした彼女はニューヨークで暮らす母親を頼って夢を叶えようと毎日オーディションを受け続けていた。
ようやくありついたのは台詞もない3分の役で、しかも舞台本番でスカートがずり落ちそうになり、機転で両端の裾をつまんでくるくる回った彼女に、観客は大喝采した。
そこから彼女は衣装を考案して振り付けして舞台装置や照明などにも工夫をこらして、名前も「ロイ・フラー」に変えて、舞台の幕間に踊り次第に人目を集めるようになった。
そこから彼女の成功と挫折が絡み合ったダンサー人生が始まる。
この作品の大きな目玉はジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップだ。ミッキーもそれを楽しみにもしていたが、主演ソーコの熱演にうたれた。
ソーコは、実在のロイ・フラーに近づくために、現在、ロイ・フラーのダンスを踊れる唯一のダンサーであるジョディ・スパーリングに1日6時間の特訓を受け、習ったことを自分なりに解釈してスタントマンを使わずやりとおした。
スクリーンに映る動き一つひとつが調和と意外性の連続で、後世に名を残したイサドラ・ダンカンの天賦の才能とは比較すること自体できない「別物」と感じた。
実際のロイ・フラーは踊って拍手喝采を浴びるが、体力回復までに三日間かかったとプレス資料に書いてあったが、長い棒を両腕につけて踊るダンスに痛々しさを感じてしまった。
☆ソーコ 1985年フランス生まれ。本名はステファニー・ソコリンスキ。22歳のときにシングル「I’ll Kill Her」が北ヨーロッパを中心にヒット。音楽活動と平行して、10代から女優としても活躍。最新作『ザ・ダンサー』では、セザール賞の主演女優賞にノミネートされた。