2017年05月26日

ワイダ監督、最後のメッセージ 6月10日公開『残像』

🎬『残像』アンジェイ・ワイダ監督/ポーランド/99分/6月10日より岩波ホール他にて全国順次ロードショー公開

第2次世界大戦後、ソビエト連邦の影響下にあるポーランドで、社会主義政権による圧政が行われていた。前衛画家のヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)は、カンディンスキーやシャガールらと交流をしながら、創作活動と若い学生の美術教育に情熱を注いでいた。

しかし、芸術を政治に利用しようとする政府に反発したため、名声も地位も尊厳も踏みにじられていく。そんな境遇の中でも芸術に対する希望を失わず、自分の信念を通すが……。


去年10月に90歳でお亡くなりになったアンジェイ・ワイダ監督の遺作。

自らのレジスタンスの体験を描いた『世代』、ソ連への地下抵抗運動を描いた『地下水道』、第2次大戦前後のポーランド社会を描いた『灰とダイヤモンド』は「抵抗3部作」と呼ばれ国際的に絶大な評価を得た。

遺作となった本作はワイダ監督の亡くなるひと月まえにトロント国際映画祭でプレミアム上映された。2017年アカデミー外国語映画賞ポーランド代表作品にも選ばれた。

題名の「残像」を調べてみた。強い光を見た後で、一定時間、視神経に画像が残る現象で、映画やテレビの映像が連続して見えるのも残像によるものである。と書いてあった。

前衛画家の ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキは「残像」を描いている。それはスクリーンで数点見られるが見方によっては「得体のわからない」不可思議なものに見える。

それは残像の意味が示すとおり「自分自身のものであり他人に侵されない」という意味が含まれるているように感じた。

それにしても高名な画家が身分を隠してプロパガンダの看板を描いたり、それも出自が分かり、次はショーウィンドーの飾り付けと生活のためとはいえ寂しく厳しい末路だった。

☆彼には利口な一人娘ニカ(ブロニスワヴァ・ザマホフスカ)がいて、ストゥシェミンスキの人生において希望となった。彼女は(1936〜2001)精神科医となり、回想録も遺している。
posted by ミッキー at 11:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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