第2次世界大戦で空軍パイロットとして戦ったハロルドは、1945年に帰還して間もなく聡明で美しいリリアンと出会い、瞬く間に二人は恋に落ちる。
厳格なユダヤ人家庭のハロルドと孤児院育ちのリリアンとの結婚は大反対されるが、3年後に周囲の反対を押し切って駆け落ち同然でハリウッドに移住した。
子どもも産まれたことで、生活を支えるためにハロルドはコロンビア映画の絵コンテ作家として就職する。
不安定な映画業界であったが、実績を積んだハロルドはパラマウントに移り、『十戒』の海が割れて道ができる絵コンテで映画業界で注目を集めるようになった。
一方、リリアンは3人の男の子を産んだが、長男が自閉症と診断され、育児と病院と家事で10年の月日が経った。そんな頃にハロルドから映画リサーチの図書館でボランティアを勧められた。元々、本好きだったリリアンはその仕事に没頭していく。
縁の下の力持ちという言葉があるが、まさにこのお二人がそうだ。映画のエンドロールにはお名前はほとんど載らなかったが、60年の映画作りの確かな歩みはハリウッドのみならず世界に影響を与えたご夫婦だ。
映画を製作しようと思う監督の頭の中で、「こんな感じのところで…、こんな風に」と構想が浮かぶ、それを聞いたり、脚本を読んだりして、ササッと画面を何枚も書く仕事で、ハリウッドで「なくてはならない人」がハロルド氏だった。
奥様は映画資料図書館のボランティアから、時代考証のエキスパートに成長。この仕事は彼女の聡明な知力と行動力でハリウッドの製作陣から大きな信頼を勝ち取っていく。
お互いに仕事への協力と生活上の悩みを共有していく姿に頭が下がった。
映画製作の隠れた存在に驚くと共に、名画がこうして作られたという逸話も盛りたくさん出てくる。この内容で100分以内に編集した監督さんの手腕に感服した。