向かったのは地下鉄東西線直通中央線の阿佐ヶ谷。ほんの15分でついてしまう。駅から3分🏃で昔ながらのしゃれた木造の映画館・ラピュタ阿佐ヶ谷。今日は益田喜頓主演の刑事物語の二本立て。
🎬『刑事物語 前科なき拳銃』小杉勇監督/52分/1960年
初夏の夕暮れに場外馬券売り場で大胆不敵な強盗殺人事件が起きた。残された拳銃の玉からは何も手がかりは掴めなかったが、犯人を乗せた運転手が名乗り出て来たのでモンタージュの顔写真を作るが…
益田喜頓さんをじっくり観たのは初めて。飄々とした雰囲気で、何か不審なことがあるとお目目がギョロっとするのが愛嬌があった。
一緒に捜査に出歩くのは息子の新米刑事(青山恭二)。
顔見知りの元ヤクザの男(高品格さん 名演!)に酒を呑ませて情報を聞き出すシーンや、犯人を追っかけている時に拳銃で肩を撃たれた益田喜頓が「肩の玉と一致するのが楽しみだ」などと犯人検挙に執念を燃やしていたのが面白かった。
🎬『刑事物語 小さな目撃者』小杉勇監督/53分/1960年
製薬会社の守衛夫婦が殺された。盗まれたのは高価な薬品で海外に持っていけば数倍の値になるものだった。当夜の宿直だった吉岡(弘松三郎)は殴打され意識不明で病院にはこばれた。
彼は社内で模範的な青年で、殺された守衛の子どもヒロ坊(松岡高志)は遠い郷里のおばあちゃんと連絡がなかなか取れないので一時的に佐藤刑事(益田喜頓)が引取ることになって…
子どもらしい子役さん。この子が夜オシッコがしたくなって、一人トイレに行った時に薬品を数人でトラックに運んでいるところをじっと見ていたのだ。
もちろん、犯人も。だけど警察が何を聞いても「おとうちゃん、おかあちゃんは ? 」「おうちにかえりたい」となきじゃくるばかり。セリフなんか棒読みに近いのだが、この子役さんが大人俳優さんたちを完全に食っていた。
お守役刑事の益田喜頓さんに慣れてくると、あれ買って、これ食べたいとワガママを言う。佐藤家は年配のお手伝いさんと同じ刑事をやっている独身息子の3人家族にひょっこり現れた小さな男の子に振り回されるが、事件の内容より、家庭的な刑事一家のほのぼのとした雰囲気が良かった。
もちろん、最後はヒロ坊が大活躍する。田舎のおばあちゃんと一緒に帰る場面は、佐藤刑事親子同様、ミッキーもホロっとした。
2作品ともモノクロで小1時間ものだが、懐かしい60年代の東京がスクリーンに息づいていた。