18歳のフェッロ(ルイージ・フェデーレ)とカテ(ブルー・ヨシミ)は、高校卒業直前に妊娠したことがわかり、自然の流れで産むことに決めた。生活力がないので考えた末に、フェッロの家族と同居することにした。
フェッロとカテは学校の友人たちと卒業旅行をする予定だったが、きっぱり断ってカテと居候ながらも二人は離れなかった。
フェッロの家族はブチブチ文句を言う父親、ちょっと早いが初孫誕生でウキウキする母親、そして、よく遊びにくる親戚の独身おばさん。そこにカテのギャンブル依存症の父親(図々しく同居する)も加わって出産までの小1年を描いている。
題名がピューマだから動物のピューマとおもったが、「羽根」という意味で自由にふんわりとした気持ちを表しているようだ。
まあ、とにかく2人を取り巻く家族が超が何個か付けたいぐらい個性的。フェッロの父親は難問続出の張本人の息子に「お前、頼むから俺にはどうでもいい無駄口だけにしてくれ。重要な相談事など聞きたくない」と嘆く様に、仰け反って😄笑った。
こんなに揉め事が多いなら育てる自信がないと、弁護士を通じてカテは里子に出そうとするが、ここで条件として「名前はピューマにしてほしい」などという。もちろんそんな条件などは通らないとわかって…、苦い、辛い、酸っぱい、塩っ辛い、でも面白いコメディーの一級品。
☆会場の質問で「イタリアではピューマという名前は多いですか」と聞くと「イタリアでもほとんどない名前だけど、5人くらいはいるようだ」と教えてくれた。
🎬『ジュリアの世界』マルコ・ダニエリ監督・脚本 イタリア、フランス 104分
両親が「エホバの証人」のジュリア(サラ・セッラヨッコ)は18歳。彼女自身も模範的な信者で伝道をしたり集会に行ったりして熱心に活動していた。
彼女は高校でもやはり浮いた存在でイジメも受けていたが、そんなことは歯牙にもかけず勉強も熱心に取り組み、数学などは教師顔負けの才能を発揮していた。
担任の教師は大学進学を薦めたり、数学コンクールに出るようにと指導するが信仰が第一と即座に断ってしまう。
そんなある日、熱心な信者の女性の息子リベロ(ミケーレ・リオンディーノ)と出会う。
彼は麻薬犯罪で刑務所を出てきたばかりで、母親の信仰を毛嫌いして反抗的な態度だったが、なぜか彼女はほっておけなくて、仕事場を紹介したり挨拶程度の会話をしたりする間にお互い離れがたくなる。
ダニエリ監督の長編デビュー作。全く異なる世界に生きる若い男女の(辛)青春ラブストーリー。
ジュリアの中でどんどん崩れていく宗教的価値観と彼女の自立がとてもきめ細やかに描かれていた。終わってからの拍手👏は一番大きくて長かった。
会場から「いままでのイタリア映画祭でこんなに感動したのは初めて」と常連の方が感想を述べていたが、ミッキーはそこまでとは思うが、確かに1作品目の監督さんの演出、エホバの証人の取材など力のある方なので、これからの作品にも期待したい。
ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に出品され、主演のサラ・セッラヨッコとミケーレ・リオンディーノに最優秀女優賞・男優賞を受賞した。