金と名声が目的で芸術家の伝記を書こうと思い立った駆け出しの美術評論家ゼバスティアン(ダニエル・ブリュール)は、スイスの山奥で隠遁生活をしている伝説の画家カミンスキー(イェスパー・クリステンセン)を訪ねた。
彼はマティスの最後の弟子で、ポップアート隆盛の60年代のニューヨークで「盲目の画家」と脚光を浴びた伝説的人物。
今は山奥で愛嬌のない娘ミリアム(アミラ・カサール)がカミンスキーの身のまわりを世話している。
ゼバスティアンはミリアムがいない時に、召使いの女をうまく丸め込んで、85歳のカミンスキーを自宅から誘い出し、若き日に愛した女性・テレーゼ(ジェラルディン・チャップリン)の所に連れて行こうとするが…。
お馬鹿なミッキーはカミンスキーさんを実在の人物と思い込んで観ていた。見事に騙されたがワクワクする展開と映画全般に軽快なリズム感があって、最後まで魅入ってしまった。
監督さんは『グッバイ、レーニン!』のヴォルフガング・ベッカー監督さんで長編ものでは第2作品目。ダニエル・ブリュールさんの出世作で、彼を再び起用している。
カミンスキーさんと野心満々のセバスチャンの道中にちょいと顔を出す自由老人に、あの『ポンヌフの恋人』のドニ・ラヴァンが出ている。彼も相当いい加減な老人で、2人をうんと困らせる。(でも、うまいバイオリンを聴かせてくれる)
カミンスキーさんは目が見えないとはいっても、その場の雰囲気を察知し、面白がったり、驚かせたりしている。
原作はドイツのベストセラー作家ダニエル・ケールマンの「僕とカミンスキー」(三修社刊)。
☆ダニエル・ブリュールさんは7月に公開される『ヒトラーへの285枚の葉書』にも、葉書の出どころを捜査する役で出ている。