海鳥が黒い油だらけになって悶えているシーンが未だに目に浮かぶメキシコ湾原油流出事故は、2010年4月20日に起こった。その大事故の様子が臨場感を持って描かれていた。
電気技師マイク(マーク・ウォールバーグ)はその日の出勤の朝からいつもと違う何かを感じていた。妻(ケイト・ハドソン)は変な夢を見たというし、乗ろうとした車が動かなくて、一日の始まりとしていつもと違っていた。
掘削日が遅れていると早くことを進めたい石油会社の役員ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)。コンクリートの固まり具合を確かめるテストがしていないという事態を重く見る、施設全体の現場責任者ジミー(カート・ラッセル)。
一ヶ所直すと他が具合が悪くなるという末期的な状態のメキシコ湾沖約80kmの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」を知り尽くしている電気技師マイクや現場責任者ジミーはことあるごとに会社に危険性や改善策を提案するが、頑として受け入れてくれない。
この日もそんなやりとりの末の大事故だった。そして事故の様子の映像も圧巻だった。緊張のあまりに身体が固くなったほどだ。こんな大事故中でも機械スイッチのボタン一つ押すにも上からの指示を待つというのに驚くがこれが現実だろう。
第89回アカデミー賞で本作が視覚効果賞、音響編集賞の2部門でノミネートされた作品。