ダニス・タノヴィッチ監督さんの「鉄くず拾いの物語」をDVDで見つけたので早速借りた。本当は「ノー・マンズ・ランド」を見たいと思ったが貸し出し中で、きっと無いと思った鉄くずがあった。もう3年前に見たが復習のつもりで借りてきた。
そういえば思い出した ! ここに出てくる家族はみんな「ご当人」だった ! ボスニア・ヘルツェゴビナに住む非常に貧しい一家(父、母、小さなかわいい女の子が二人)のお話。お父さんは鉄くずを拾い、売って生活をしている。
貧しいが家族は愛に包まれていて、満ち足りている様子がわかる。そんな家族に、もう一人赤ちゃんが生まれるらしく(お母さんはものすごく太っていて見た目は妊娠しているとはわからない)、どうも流産しかけている。
医者に行くたいが保険証がないために膨大な費用がかかる。夫は月賦にしてもらえないか掛け合うがノーと言われる。
妻はあきらめきった表情で「もう、いい、帰ろう」と言う。 ほっておけば命にかかわる。お腹は我慢できないほど痛く出血もしている。
隣人も親戚も心配してくれる。妻の母は「嫁の保険証を使え」と言ってくれる。嫁も納得して「もし、ばれた時は責任とってね」とは言うものの義理の姉の身体を心配している。貧しい一家だが暖かい話で😂ホロっとさせてくれた。
この作品は第86回アカデミー賞の外国語映画賞のノミネート作品。そして夫のセナダ・アリマノヴィッチさんはベルリン映画祭で主演男優賞を獲得した作品。ぜひDVDでご覧いただきたい。
🎬『汚れたミルク あるセールスマンの告発』ダニス・タノヴィッチ監督/インド、フランス、イギリス/90分/東京公開中、4月15日より名古屋伏見ミリオン
1994年、パキスタンで国営薬品のセールスマン・アヤン(イムラン・ハシュミ)は売上は落ちる一方だった。それに医者も相手にしてくれない、最近は多国籍企業の開発した薬ばかりがもてはやされている。
アヤンは家主から家賃の催促までうけている。これでは妻・ザイナブ(ギータンジャリ)や家族を養っていけないと困っているところに、妻が巨大多国籍企業ラスタ社の営業マンを募集する広告を見つけて来た。
大学も出ていないアヤンは尻込みするがザイナブの強いすすめもあって一張羅を着込んで面接会場に行った。たくさんの人が面接を待っていたが、勇気をだして「ここらへんの病院や医師ならほとんど知っている。僕を雇わないなんて大馬鹿者だ」といったところ、めでたく採用となる。
大喜びのザイナブたち。勢いついた彼はもうれつに売上を伸ばしていく。売る商品は赤ちゃんの粉ミルクだった。
彼の売った粉ミルク自体が悪い製品ではない。パキスタンの土地柄か貧しい人々だったからかわからないが劣悪な環境の飲み水を煮沸もしないでミルクを溶いて飲ませたことから死亡事故が多く発生したのだ。日本では考えられない。
煮沸した水でと書いてあっても読めない貧困層もいたかもしれない。でも、これはパキスタンで本当に起こった事件を基にしている。彼は責任を感じて勇気ある行動を起こす様子が怒りを持って丁寧に描かれている。
☆主演のアヤンは、いま最も人気のあるボリウッド映画スター イムラン・ハシュミ。