2017年03月16日

一人身が似合う女性 3月25日公開 『未来よ こんにちは』

🎬『未来よ こんにちは』ミア・ハンセン=ラヴ監督/フランス/102分/3月25日よりBunkamura ル・シネマ他にて全国順次ロードショー公開

高校で哲学を教えているナタリー(イザベル・ユペール)は物分かりのいい教師の夫と、すでに独立している2人の子を持つ聡明な女性。少し離れた場所で暮らす実母の世話しながら、学校と哲学書の執筆で毎日忙しく過ごしていた。

そんな時に、夫から突然「愛する人がいる。別れてくれ」と言われ驚くナタリーは「黙っていれば、わからないのに…」と言いながらも今さらジタバタしても始まらないと、覚悟を決めるのに時間はかからなかった。


主演はミッキーが大好きなイザベル・ユペールさん。去年のフランス映画祭に来日されて時、東京までお姿を見に行った。美人ではないが意志がはっきりとした眼差しが好きだ。映画祭で上映した『アスファルト』も味わいのあるものだった。

さて、新作のこの映画、夫の愛人話は、娘が気がついて弟と相談したうえで「パパ、話があるの、随分前から愛人がいるわね、ママは知らないけど、どちらかに決めて」と言うのだ。これにはちょっと意外な気持ちがした。

子らは独身で独立している。個人主義的なフランスで親のことに口出しするのか……と思ったのだ。これが反対ならどうだろう。別居している息子夫婦に「息子よ、お前には愛人がいるが、どちらかに決めて」など言えるだろうか。

娘に言われた夫はナタリーにすぐ告白する。ナタリーは別居に向けて理性的に行動する。

まず、彼女が残念だと思ったのは、ブルゴーニュの海辺の別荘だ。この庭は一から自分好みに手入れした自慢の草花が植わっていて「彼女はお花が好きかしら、世話してくれるといいけど」と夫に聞いている。夫は「ここは子供らと、くればいいじゃないか…」とあまりにも行動が早いので憮然としている。

決してカラッとしているコメディーではないし、身につまされるような悲しい話でもない。「50過ぎだけど、お一人様のちょっぴり寂しい第2の人生」も悪るくないぞと思わせてくれる作品だった。

☆シューベルトの歌曲「水面に歌う」が、彼女の決心と行動を後押ししているように使われていた。
posted by ミッキー at 23:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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