行方不明になった娘を10年間探し続けて、とある島にたどり着いたヘグァン(イ・ソンミン)は、宇宙から落下してきた小型衛星ロボットを見つけて持ち帰る。
そのロボットは世界中のあらゆる声を認識する能力があって、ヘグァンの電話番号から娘の声を再生することができた。
街を歩くのにロボットは目立つので、フード付きのピンクのトレーナーを買って着せ、声に反応するので「ソリ」と名付ける。ソリとヘグァンはだんだんとお互いを理解し始めたが、アメリカの国家安全保障局や韓国の宇宙研究所がロボットを回収しようとしていて、追われる身になる。
面白い ❗️
ソリとは韓国語で声という意味で、ソリには感情、自我もある。洋服屋に行って安いのを買おうとしたら、高級な上着をじっと見ていて買わずにはいられなかったり、いなくなった娘さんの携帯と話したことのある声の主に街中で反応したり、と可愛いくて頭の良い個性的なロボちゃんだ。
つい数日前に大坂の宿で(確かNHK)お亡くなりになった三波春夫さんの声を解析してそっくりなお声を作っているニュースがあった。画像も今ではホログラムのように作ることできるので、こうなれば鬼に金棒で「死んでもなお活躍する俳優」ということも考えられると思っていた矢先だった。監督さんの目の付け所に感心した。
これ、是非とも公開してほしい。主演のイ・ソンミンさんの持ち味が生かされた心温まる作品だった。
🎬『HER MOTHER』佐藤慶紀監督/日本初上映
43歳の晴美は、ひとり娘のみちよが2年前に恋愛結婚して、今は夫と2人で暮らしている。そんなある日、みちよが実家にきて「好きな人ができたので、別れるかもしれない」と事もなげに言う。ワガママな娘と戒めたが、そこに血相を変えた娘婿・孝司がやって来てみちよを殺してしまう。
孝司は死刑判決を受ける。最初は死刑を当然だと思っていた晴美だったが……。
テーマ題材がとてもいいのだが、現実に裏打ちされていない残念な作品だった。
浮気された夫が妻を殺しても、死刑判決はでない(はず)。でもその前に浮気相手の男も殺っているなら死刑は考えられるようにも思える。
その証拠には娘の携帯の通話記録を知りたいと警察は探しまわるが見つからない。が、これも警察なら通話記録は携帯会社との協力で読めるはずだ。
それに、死刑判決が確定して1年も経たないのに執行はされた例はない。大阪教育大付属池田小学校に押し入った男が決定後約1年で執行されているのは例外で、他は4.5年経ってからだ。
みちよの携帯は母親がずっと隠し持っていて暗証番号がなければ中を読めない。刑が決定するまで数回、面会に行っていて「携帯の暗証番号を教えてくれ」と聞いている。これらの会話を聞いているはずの刑務官、事件の重大な手がかりだからスルーできないはず……と、ミッキーの頭に、たくさん不思議マークが点滅した。
死刑を望んでいた母親は夫からも周りの人からも孤立して、向き合って話を聞いてくれるのは元婿、娘を殺した孝司だけ。その変わりゆく精神状態は共感できた。現状の理にあまりにも沿っていないのが残念だった。
残念だったが、この映画に限って、半ボケ・ミッキーの頭から離れない。