🎬『サリーを救出』アヴィッド・リオンゴレン監督/フィリピン、フランス
漫画家を夢見る高校2年生の男の子・マーティの世の中は、いろんな色で彩られていて、彼の目に映る人間は彼の想像する動物の姿というありえない空間だった。
そんなマーティは周りの友人から浮いた存在で時にはいじめられることもある。この日もロッカーの前でいじめられていたところに、長身の美少女サリーが突然現れて、装着していたスーパー・ガジェットで、いじめっ子を退治してくれた。それがきっかけで「親友」となったマーティだったが、サリーとの間柄は「恋人」にはなかなかたどり着けなかった。
異世界に紛れ込んだような作品で、製作に12年もかかったアニメと実写の青春もの。色合いは目に穏やかなレトロ風で気に入った。
サリーは(魔法使いサリーみたいだ)心身ともに個性的で、携帯など持っていない。伝達手段は洗濯物の干し方と家電。例えば縞のセーターなら「親がいないから電話して」、靴下片方なら「今から散歩、来れるならば来てね」などだ。これで連絡をとりあっている。
どうも、彼女の家には言えない事情もあって……おっと、ここまで。本当にピュアで個性的な作品だった。
🎬『イエローバード』K・ラジャゴパル監督/シンガポール、フランス/日本初上映
舞台はシンガポール。密輸罪で服役していたインド系の男性・シヴァ。出所した彼を母親は許してくれないし、妻と愛娘は家を出て行ったしまった。妻の妹(この妹と身体の関係があった)に聞いても妻の居所は教えてくれない。
行き場をなくしたシヴァは日払いの葬列バイトをするが、中国系の若い女性と知り合う。彼女は家族の借金を払うために、娘と離れシンガポールに不法できていて、森の中にビニールシートの粗末なテントで売春をしている。
シヴァは彼女から、危険の多い売春の用心棒と前払いの集金を頼まれた。そんなころ、娘と逃げた妻が再婚したとわかって、より一層、妻探しに奔走する。
『サリーを探せ』から「妻を探せ」だが、めちゃくちゃ暗い、暗い、前(希望)が全然見えないくらい、暗い作品だった。
夜9時からの上映だったが、💤する余裕がないほど暗かった。だから終わってから重い足を引きずりながら宿に帰った。風呂の時間は終わっていたので、シャワーでと思ったが、それも億劫になって上着とジーパンだけ脱いで寝た。
夜中、4時ごろ目覚めた。まだ映画が後引きしていて「あれからどうなるんだろう、題名の黄色い鳥は何を表しているんだろう」といろいろ考え込んでしまった。