2017年02月05日

岐阜ロイヤル劇場で、森繁久弥2役の『暖簾』を観た

岐阜は不思議なところだ。全国津々浦々行ったわけじゃないから、ここだけではないかもしれないが、古着屋さんに季節の果物がひと縛り300円で店の隅っこで売られていたり、ランチのお店の前にルッコラひと束100円でおいてあったり、魚屋にサツマイモが1本70円でうっていたり、岐阜駅からの目抜き通り沿いだから始めはかなり驚いた。

人柄はのんびりしていてとても話しやすい。物価も名古屋に比べると安いように思う。とにかくロイヤル劇場のある限り、ミッキーはこの地に月に2回ぐらい来るだろうが、映画館以外の寄り道も開拓中だ。


🎬『暖簾』川島雄三監督/1958年

淡路島から一人、あてもなく大阪に来た吾平少年はある大店主人風の男の後ばかりを追っていた。少年はこの人ならなんとか雇ってくれそうだと感が当たったのか、その恰幅の良い昆布屋の主人・浪花屋利兵衛(中村鴈治郎)は根負けして吾平少年を雇うことにした。

よく働き、真面目で気配りができる少年は主人夫婦(奥さんは浪花千栄子さん)に気に入られ、十年ほど後に吾平(森繁久弥)は暖簾分けをしてもらう。

吾平は、丁稚で苦労していた時から下働きのお松(乙羽信子)と一緒になろうと思っていたが、利兵衛夫婦は、吾平に婚期を逸した姪の千代(山田五十鈴)を押しつけて来た。これが暖簾分けの条件みたいなものだったのかと悔いたが後の祭り。お松が国に帰り、千代と結婚した。

森繁久弥、浪花千栄子、山田五十鈴なら正月に観た豊田四郎監督の『猫と庄造と二人のおんなたち』だ。これは1956年だから、この2年後に森繁久弥と浪花千栄子は正反対の役をやっている。山田五十鈴は同じ、嫉妬深いがきっちりとした女を演じている。

大阪商人の一代記だが、もし、縁談を断って乙羽信子と結婚していたら、ここまで商売が大きくなっていただろうか、と空想してみた。仲良い夫婦だったら「幸せを守りたい」気持ちも手伝ってほどほどの商いだっただろうか、いや、もっと大きな会社にしていただろうか…等々考えた。

山田五十鈴との結婚は初夜から「商売」だった。このシーンが一番笑えたし傑作場面だ。年が経つ間に意地の張り合いから、お互いの心情を阿吽の呼吸で知る夫婦になっていた。

店の苦難や発展、森繁久弥2役も良かったが、男と女が「夫婦」になっていく道のりから目が離せなかった。
posted by ミッキー at 13:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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