1942年。モロッコのカサブランカ。イギリスの特殊作戦部の任務で派遣されたマックス・ヴァタン(ブラッド・ピット)は、フランス軍レジスタンスで「自分の妻」となる相棒の名前も知らされなかった。手がかりは紫のドレスが目印だった。
二人は重大なミッションを遂行するために「夫婦」を演じて、見事に周囲を信じ込ませ、占領下のカサブランカに滞在するドイツ大使の暗殺を見事に成功させる。
マックスは「妻」には決して恋をしないと固く戒めて行動していたが、マリアンヌ(マリオン・コティアール)を一目見た瞬間から押さえきれない感情を覚えるのだった。
二人はその後ロンドンで結婚して女の子にも恵まれた。そんなある日、マックスは上司から信じられない話を聞いて……。
ストーリーは大体想像したとおりに展開するが、俳優や製作陣の力量で格調高い作品に仕上がっている。
ブラッド・ピットは言うまでもないが、マリオン・コティアールは『君と歩く世界』でシャチのショーの最中に起きた事故によって膝から下を失った調教師を演じ、『サンドラの週末』では自分のためにボーナス返上を受け入れてほしいと週末に同僚の家を訪ねまわるという切羽詰まった役を演じていた。みるみるうちに世界のブラピと共演しても引けを取らない女優さんになっている。
マリアンヌがマックスを愛し、結婚して、子まで作って……という生活の中で「真実」が暴かれるまで本当に幸せそうだった。そんな中で彼女に「不安で居たたまれない」感情の動きがなかったのが残念だった。
☆第89回アカデミー賞の衣装デザイン賞(ジョアンナ・ジョンストン)にノミネートされている。
☆この時代で、舞台がモロッコとくれば『カサブランカ』。あの名セリフ「君の瞳に乾杯」を聞きたくなって近くのビデオ屋さんへ。あったー ! 早速、食い入るように堪能した。