面白くなければ5、6回ある試写は最終試写日は半分以下。案の定、ミッキー好みのホラーだった。「殺し方の描写がリアル」「乾いた音楽」が気に入った。2月公開なので1月末頃にアップしたい。
さて、このまま同じビルのシネマヴェーラでハワード・ホークス監督特集の二本立て『今日限りの命』『光に叛く者』を観ようと思ったが、iPadで調べてみたら新宿シネマカリテでフィルメックス映画祭オープニング作品の『網に囚われた男』がちょうど間に合うので、これにした。キム・ギドク作品ということもあって、売り切れるといけないのでまずシネマカリテに。
チケットを手に入れてから、晩ご飯は新宿地下のビア&カフェBERG に。ここのサワーキャベツ、酢漬けの豆が大好きで、他に野菜スープとパンを食べた。それでも700円いかない。
🎬『網に囚われた男』キム・ギドク監督/韓国/112分/新宿シネマカリテにて
北朝鮮の田舎で小さいながら自前のボートを持っている漁師ナム・チョル(リュ・スンボム)は、妻(イ・ウヌ)と幼い娘と共に貧しいながら幸せに暮らしていた。
いつものように漁に出たが、彼のボートのエンジンに網が絡んでしまい、それに気を取られていて軍事境界線を越えて韓国側領域に流されてしまう。
チョルは韓国の警察に捕まり、警護に若いオ・ジヌ(イ・ウォングン)が彼の監視についた。
ナムは韓国警察に「北に戻りたい家族の元に帰りたい」と強く訴えるが、しかし、スパイ容疑をかけられて過酷な取り調べを行う。北朝鮮を憎悪する取調官(キム・ヨンミン)が執拗に彼を追い詰めるが……。
キム・ギドク監督といえば、『アリラン』『うつせみ』『サマリア』『嘆きのピエタ』『メビウス』『殺されたミンジュ』など、ほとんど観ているが、新作の『網に囚われた男』は朝鮮半島を舞台にスパイ容疑を掛けられた平凡な男が、韓国だけではなく、散々苦労して帰った北朝鮮からも翻弄される姿を真っ直ぐに描かれている。
今までの作品と違う「真っ直ぐ」が際立っていて、分かりやすく出来ている。だからこそ知らしめようとする監督の意志も強いエネルギーを持って迫ってくる。
北朝鮮はひどい国で民衆はみんな飢えていて貧しくて不幸だ ! と心の底から思っている韓国側。だが、囚われた男は韓国の街で身を売って生活している若い女や、浮浪者に出会う。そのときに病める民主主義が徐々にあらわになっていく。観た後は重苦しい現実突きつけられて疲れさえ覚えるが、是非とも観ていただきたい力作。
☆執拗な取り調べ官演じるキム・ヨンミンさんは、『殺されたミンジュ』で8役を演じた方。