2017年01月09日

2016年・ドキュメンタリー&アニメのベストテン候補作品・特別賞

名古屋はみぞれのような冷たい雨が降っていた。岐阜のロイヤル『われ一粒の麦なれど』も『ブラック・ファイル 野心の代償』も観たいが、ベストテンの原稿も半分やりなので、一日パソコンに向っていた。

ドキュメンタリー
◆『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』中島貞夫監督
時代劇は日本が誇る文化芸術。時代劇のちゃんばら「殺陣」は日本人の死生観に通じると、日本の映画の草創期から現代に至る時代劇の変遷を、中島貞夫監督と女優・山本千尋との対話、映像、写真資料、殺陣師の座談会、俳優、評論家、映画監督へのインタビューなどで、その魅力と衰退した原因をさぐっているドキュメンタリー。
来場された中島監督は前作から17年ぶりの新作で「自分の人生を駆けて本格的なちゃんばら時代劇を撮ってみたい。その手がかりとして、このドキュメンタリーを撮った」と熱く語っていた。日本映画の歴史、ちゃんばら発祥の地・京都のこと、歴代のちゃんばらスター、そのスターを支える殺陣師の興味深い話など、すごく勉強になった。

◆『将軍様、あなたのために映画を撮ります』ロス・アダム、ロバート・カンナン監督/ イギリス
1978年。韓国の人気美人女優チェ・ウニ(雀銀姫)は旅行先の香港から姿を消した。不審に思った彼女の元夫で映画監督のシン・サンオク(申相玉)はチェ・ウニの行方を探すが彼自身も行方不明になってしまう。
故・金正日総書記の肉声で「韓国の映画が高校生なら自分の国の映画は幼稚園レベルだ」と言っていた。この肉声の録音テープは雀銀姫がバッグに忍ばせて録音したものだが、見つかったらどうなっていたかと思うと身震いした。

◆『TSUKIJI WONDERLAND 築地ワンダーランド』遠藤尚太郎監督
世界最大の魚市場と言われ、長年に渡って蓄積した知識や技術は他に類を見ない。歴史は古く、約400年前の江戸時代から日本橋近辺に魚河岸があった。その日本橋から築地に移転して現在に至る約80年に渡ってにほんの食文化を支えてきた。そこで働く人々の営みや彼らの働く姿を追っている。
このドキュメンタリーが製作されている時は「移転」が決まったということは確実視されていた。今後、どうなるのかわからないが、唯一無二の築地で働く人々の長年で培ったものや心意気がある限り「どこで」の心配は薄れた。

◆『人間爆弾「桜花」–特攻を命じた兵士の遺言–』澤田正道監督
軍人の家系であった林冨士夫は飛行機に魅せられ、1944年に飛行学生を卒業。筑波海軍航空隊に配属される。海軍大尉だった林は出撃兵士を選ぶ役目になった。出撃者を送り出した後、誰もいない草むらで涙を流した。ほとんど氏の語りだけで構成されている。監督さんからの質問を受けても、数秒(20秒以上か)、ご自分の記憶を辿って、訥々と話していた。

◆『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』アルバート・メイズルス監督/アメリカ
ニューヨークに住む94歳の実業家アイリス・アプフェルは、大きなメガネをかけて、個性的な色合いのジャケットにヴィンテージのアクセサリー、民族衣装などを合わせて、彼女の独自のスタイルを見せてくれる。多くのデザイナーたちからも尊敬され愛されている。顧客の中にはジャクリーン・ケネディもいて、バリバリのキャリアウーマン!だけど、ミッキーが驚き、思わず「素敵!」と叫びたくなったのは夫婦仲。ご主人さま(なんと映画中に百歳!)との会話も愛に溢れていた。

◆『シチズンフォー スノーデンの暴露』ローラ・ポイトラス監督/アメリカ、ドイツ
元CIA職員の勇気ある告発!第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品。 1月27日公開のオリバー・ストーン監督、ジョセフ・ゴードン・レヴィット主演の映画『スノーデン』もお見逃しなく。

◆『はじまりはヒップホップ』ブリン・エヴァンス監督/ニュージーランド
ニュージーランドの最大の都市オークランドからフェリーで40分行ったところに浮かぶワイヘキ島。そこで平均年齢83歳のダンスグループが誕生した。目標はアメリカのラスベガスで行われるヒップホップダンス選手権に出場すること。
まいった ! こんなに感動するなんて…。1シーンも無駄な場面がない。素晴らしい編集力だ。編集はピーター・ロバーツというお名前だった。

アニメ

◆『ルドルフとイッパイアッテナ』
いつも立ち寄る猫に人間は思い思いの名前で呼ぶので「名前はイッパイアッテナ」
◆『ペット』
主様(ぬしさま)がいない時は、好き勝手さ !
◆『桃太郎 海の神兵』
日本の海軍省から国策動画を製作するように言われ1944年に松竹動画研究所によって製作された白黒の長編動画。1945年に公開された。この時期にこのレベルのアニメが製作されていたなど思いもよらなかった。それらは時にはミュージカルのようになっているのでびっくり。そして、初めて聴く「あいうえおの歌」は、このアニメのために作曲している。
◆『ソーセージ・パーティー』
ホットドッグ用のパンがめちゃくちゃ「エロ」くて見飽きなかった。
◆『ズートピア』今の人間世界と同じように発展している動物の国ズートピアが舞台。動物ごとに適当な間隔で住み分けていて職業はほぼ適性に合わせている。街の様子も動物の動きもジュディの表情も、そして詐欺師でずる賢いニックの出会いなどが ユーモアたっぷりで楽しませてくれた。
◆『そばの花、運のいい日、そして春春』(花開くコリアアニメーション)
韓国近代文学を代表する短編小説三題から作られたオムニバスアニメ作品。各作品とも一九二〇〜三〇年代の朝鮮半島を舞台にしている。

特別賞

◆邦題賞『さざなみ』
◆字幕賞 佐藤恵子氏『エブリバディ・ウォンツ・サム ‼︎ 世界はボクらの手の中に』(リチャード・リンクレイター監督)ゲームに興じる場面で「名古屋撃ち」という言葉が出てきた。
◆企画賞コロナ「メ〜シネマ」
posted by ミッキー at 06:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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