2017年01月02日

洋画ベストテン候補(ホラーは別)

◆『ヴィクトリア』セバスチャン・スキッパー監督 /ドイツ
ベルリンの街角で出会ったヒロインと4人の若者の身に起きる出来事を140分間ワンカットで描ききった青春サスペンス映画。2015年の第65回ベルリン国際映画祭では銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)など3賞に輝いた。

◆『レジェンド 狂気の美学』 ブライアン・ヘルゲランド監督/イギリス、フランス
1960年代初頭のロンドン。強い絆で結ばれた双子のギャング、レジーとロンの(トム・ハーディ二役)クレイ兄弟はそのカリスマ性と暴力で街を支配していた。実在の双子ギャングの物語。トム・ハーディに2倍惚れ !

◆『エルヴィス、我が心の歌』アルマンド・ボー監督/アルゼンチン
工場で働きながら、夜はエルヴィス・プレスリーのものまね芸人としてステージに立っている。カルロは周囲の人に「エルヴィス」と呼ばせ、かわいい娘にはエルヴィスの娘と同じリサと名付けている。妻もプリシラと呼ぶ。思い込みの激しい純真無垢な男の生き方にほだされた。

◆『帰ってきたヒトラー』デビッド・ベント監督/ドイツ
ヒトラーの姿そっくりな男(オリヴァー・マスッチ)が、突然、街に現れた。リストラされて復職ネタを探していたテレビマンに発掘され、その男はテレビに出演させられる。ヒトラーの物まね芸人と思われて、過激な演説もユーモラスと真実味があって、一躍人気者になる。原作はドイツの作家ティムール・ ヴェルメシュが2012年に発表した風刺小説。大いに笑わせる出来だが、笑ってばかりおられなくなってしまう。

◆『ティエリー・トグルドーの憂鬱 』ステファス・ブリゼ監督/フランス
50歳を過ぎたティエリー・トグルドー(ヴァンサン・ランドン)は失職して約1年半たつ。文句ひとつ言わない妻と障害のある高校生の息子の3人家族。失業中に受ける役に立ちそうもない職業訓練、スカイプで面接を受ける様子、トレーラーハウスの売り買いの場面、スーパーマーケットの従業員のちょっとした不始末、その合間に入る障害のある息子との生活。それらをじっくりと丁寧に(時には観ていて辛くなるほど)映している。だから、彼自身の我慢の限界も手にとるように分かる。障害を持った息子を中心にした家庭に、ティエリーは外で感じる嫌なことを一切持ち込んでいない。このことが、この作品にとって唯一無二の大きな救いと感じた。

◆『マイ スキニー シスター』サナ・レンケン監督/スウェーデン
ステラ(レベッカ・ジョセフィン)の姉カーチャ(エイミー・ダイアモンド)は、美しく将来を嘱望されているフィギュアスケーター。妹のおチビちゃんは、素敵なお姉ちゃんに対して「自慢でもあるし、嫉妬も感じる」 複雑な感情を幼いながらも(10歳くらい)驚くほど自然体で演じていた。ずっとずっと前の東京国際映画祭でアビゲイル・ブレスリンちゃんが『リトル・ミス・サンシャイン』で最年少で主演女優賞を獲得したがこれに匹敵する。太めのおチビちゃんというところも似ている。

◆『コンカッション』ピーター・ランデスマン監督/イギリス、オーストラリア、アメリカ
プロのアメリカンフットボールの元選手・マイク・ウェブスター(殿堂入りしたほどの名選手)の死体を解剖したナイジェリア出身のオマル医師(ウィル・スミス)は「慢性外傷性脳症」という結果を報告した。NFLはこれを全面的に否定し、事実隠微に加え、オマル氏とその周囲に圧力をかけていく。実話で、Concussionの意味は脳しんとう。監督さんは『パークランド ケネディ暗殺 真実の4日間』の方。これも医学場面が充実していた作品。

◆『マジカルガール』カルロス・ベルムト監督・脚本/スペイン
白血病で余命わずかな少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはアニメのドレスを着て踊ること。不思議な因縁で結ばれた人間関係が描かれていて、プラス、日本風味がたっぷりという作品は稀。日本風味作品といえばハンガリー映画『リザとキツネと恋する死者たち』もそうだった。最初の場面に物語の「ミソ」がつまっている。

◆『手紙は憶えている』アトム・エゴヤン監督/カナダ、ドイツ
老妻の死も忘れほどの認知症の進んだアウシュビッツ収容所の生き残り(クリストファー・プラマー)が、友人から託された手紙を手がかりに、家族を殺したナチスを探すストーリー。「ナチス関連・サスペンスの名作」最後の最後でどんでん返しがある。もうそれはそれはびっくり仰天すること請け合う。

◆『ブルーに生まれついて』ロバート・バドロー監督/アメリカ、カナダ、イギリス
1950年代。ほとんど黒人アーティストのジャズ界でチェット・ベイカー(イーサン・ホーク)。つい先月にイーサン・ホーク監督のドキュメンタリー『シーモアさんと、大人のための人生入門』を観たばかり。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の囁くような声が耳に残っている。イーサン・ホークの底力を観せてもらった。
posted by ミッキー at 07:13| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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