2016年11月14日

民族紛争の悲劇を乗り越えて 11月19日公開『灼熱』

カチンコ『灼熱』ダリボル・マタニッチ監督/クロアチア、スロベニア、セルビア/123分/11月19日よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次ロードショー 公開

1991年・夏 イェレナとイヴァン

アドリア海をはさんで向かい合う二つの村でセルビア人の娘イェレナ(ティハナ・ラゾヴィッチ)とクロアチア人の青年イヴァン(ゴーラン・マルコヴィッチ)は愛し合っていて、二人は民族対立で不穏な故郷からザグレプに行く予定だった。だが、イェレナの兄(ダド・チョーシッチ)から激しく非難されていた。

2001年・夏 ナタシャとアンテ

紛争が終わり、久しぶりに我が家に戻って来たナタシャ(ティハナ・ラゾヴィッチ)と母親のゾルカ(ニヴェス・イヴァンコヴィッチ)は、廃墟となった我が家を建て直すためにクロアチア人の男アンテ(ゴーラン・マルコヴィッチ)を雇う。

母親は真面目で働き者のアンテを気に入り、ナタシャの相手にと思うが、娘は大好きだった兄(ダド・チョーシッチ)を殺したクロアチア人を受け入れることができなかった。

2011年・夏 マリアとルカ

紛争の影も消えて生まれ変わった街並み。ザグレプの大学に通うルカ(ゴーラン・マルコヴィッチ)は友人たちと車で、故郷に向かっていた。ルカは友人たちと途中で別れ、一人実家を訪ねる。

両親は突然の帰郷に喜ぶが彼の心は暗い。かつてセルビア人の恋人マリア(ティハナ・ラゾヴィッチ)を妊娠させたが、交際に反対していた両親に別れさせられた経緯があったのだ。彼は今も隣村に住むマリアに会いに行く決意をする。

「アドリア海の真珠」と言われ、世界遺産のドゥブロブニクは『魔女の宅急便』『紅の豚』の舞台でもあったクロアチア。つい25年前に民族戦争の中にあったところだ。

紛争によって敵同士となったセルビア人の女性とクロアチア人の青年の関係を中心に、紛争が勃発した1991年、終結後の2001年、平和が戻った2011年の10年ごとに展開される3つのストーリーを同じ俳優さんを使って描かれている。

不穏な空気の中でもまだ自由な雰囲気のあった1991年、戦火で疲れ切った人間と荒れた土地に残された廃墟の2001年、そして現代の2011年で初めて感じる希望のシーン。

これは一人で静かにかみしめるように観るべき作品だと感じた。

☆ダリボル・マタニッチ監督さんは、10代の時に紛争を体験したクロアチア出身の方。
posted by ミッキー at 19:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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