🎬『はじまりはヒップホップ』ブリン・エヴァンス監督/ニュージーランド/94分/伏見ミリオン
ニュージーランドの最大の都市オークランドからフェリーで40分行ったところに浮かぶワイヘキ島。そこで平均年齢83歳のダンスグループが誕生した。
目標はアメリカのラスベガスで行われるヒップホップダンス選手権に出場すること。94歳の女性活動家、主婦歴70年の女性、元・オペラ歌手、車椅子の男性、杖が必要な方、視力が衰えた方……スムーズに動かない体をヒップホップのリズムに合わせて悪戦苦闘のすべてを追ったドキュメンタリー。
まいった ! こんなに感動するなんて…。思わずパンフレットを買った。
中心となってグループを引っ張っていくビリー・ジョーダンさんは深夜にかかってくる電話にも嫌な顔もしないし、目の不自由な方の足の爪も切ってあげていた。ビリーの人柄の良さが周りのご老人たち幸せにしている。
ヒップホップといっても若者のように激しくするわけじゃないが、生き生きとした振り付けで工夫されていた。
1シーンも無駄な場面がない。素晴らしい編集力だ。編集はピーター・ロバーツというお名前だった。
舞台になったワイヘキ島、ミッキーも行ったらグループに入れてくれるだろうか…。
🎬『映画よ、さようなら』フェデリコ・ベイロー監督/ウルグアイ、スペイン/67分/2010年/今池シネマテーク
両親と暮らす45歳のホルヘ(ホルヘ・ヘリネック)は、ウルグアイの首都モンテビデオにあるシネマテークに25年勤めている。
かれの仕事は、フィルムの管理、上映作品選び、映写技師、客席の修理など、あらゆる仕事をしている。
この映画館が人生そのものであるホルヘだが、経営不振のために立ち退きが決まり、応援してくれていた財団からも資金協力停止を通告される。そして、ついに最終日なる。
モノクロの静かな静かな作品だった。いつも映写機の回るような音がかすかに聴こえてくる。そんな中でスクリーンに映し出される前の、地味な仕事を黙々とやりこなしていくホルヘ。
最後の日は意外なシーンに満ちていた。それは秘密にしておきたい。後からじんわりと映画への愛情が伝わってくる作品だった。
☆主役のホルヘを演じるホルヘ・ヘリネックさんはウルグアイの映画批評家。館長役のマヌエル・マルティネス・カリルさんは、モンテビデオに実在するシネマテークの館長。
学生時代にシネマテークでアルバイトしていたフェデリコ・ベイロー監督は、自分を育ててくれたシネマテークを舞台にした企画を考えていたところ、ヘリネックさんと出会い、彼を主人公にして作品に仕上げた。