2016年04月08日

あの映像が映し出されるまで 4月23日公開『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』

約3週間の海外生活の疲れも今のところ出ていない。深夜に帰った次の日から試写に出かけた。後からどーっと出たら、その時はその時、でも食べ物と睡眠時間だけは気をつけている。


🎬『アイヒマン・ショー歴史を映した男たちポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督/イギリス/96分/4月23日よりヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国ロードショー公開


1961年、元ナチス将校アドルフ・アイヒマンの裁判が行われた。



ホロコーストでナチスがユダヤ人にしたことを、アイヒマンの前で生存者が語る一部始終を、世界に知らせるためにテレビプロデューサーのミルトン・フルックマン(マーティン・フリーマン)とドキュメンタリー監督のレオ・フルヴィッツ(アンソニー・ラパリア)は裁判を撮影し、その映像を世界に発信しようと計画する。制作チームは撮影の準備を進めるが幾多の困難が待ち受けていた。


もちろん、これは実話だ。アイヒマンが防弾ガラスの囲い中で裁判をうけている場面はよく見かけるが、この代表的な1シーンに、こんな深い事情があったとは思いもよらなかった。



カメラマンは、どんな証言にも一切表情を変えないアイヒマンを根気よくカメラを向け続け、頬の引きつりのようなニヒルな笑みの一瞬を捉えていた。



この作品を観るとアイヒマンが血も涙もない男と映るが、2年ほど前に見た「ヒトラーの審判 アイヒマン、最後の告白」というDVDでは、また別のアイヒマンが描かれていた。これもあわせてご覧になることをお薦めする。



DVD「ヒトラーの審判 アイヒマン、最後の告白」ロバート・ヤング監督/イギリス、ハンガリー


アドルフ・アイヒマン(トーマス・クレッチマン)は、ナチス政権下で、数百万の人々を強制収容所に移送する指揮を担った。戦後は家族と共にアルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、15年後の1960年にイスラエル諜報部よって、会社帰りにバスを降りたところを(『ハンナ・ハーレント』に出てくる画面と酷似していた)逮捕され、イスラエルに連行された。

アイヒマンの独房のすぐ前に取調用の机が置かれ、アヴナー・レス警部(トロイ・ギャリティ)は、イスラエル諜報部に出向き、アイヒマンの尋問書を作成していく。だが、ユダヤ人たちは、裁判よりもいち早く彼の死を望み抗議する大勢の人がイスラエル諜報部に押し寄せてくる。

この映画の主役はアイヒマンではない。尋問を任されたアブナー・レス警部が「命令に従っただけだ」と罪を認めないアイヒマンとのやり取りを中心に、アブナー・レス警部自身も上からの命令で動かされる重圧とそれに反発できない鬱屈した様子が赤裸々に描かれていた。妻はとうとう病床に臥してしまう。

囚われの身のアイヒマンの神経質な振る舞い。ニヒルな口元から「私もあなたと同じように職務に忠実な警察官だった」などの言葉。証拠が揃って関与を認める際に「子どもたちへの手紙を必ず届けて欲しい」と懇願する様子など興味深い。

posted by ミッキー at 19:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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