🎬『不屈の男 アンブロークン』アンジェリーナ・ジョリー監督/アメリカ/137分/2月6日より渋谷イメージ・フォーラムで公開、その後、6月までに全国順次公開
イタリア移民の子どもだったルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は、手の付けられない不良だったが、兄のピートのすすめもあって、反抗的な力を「走り」に向けるとみるみる才能を発揮した。
次々にアメリカの記録を更新して1936年のベルリン・オリンピック5000mに出場して、一躍英雄になる。
第二次世界大戦がはじまると、ルイは空軍爆撃手になったが、飛行機が故障して海に墜落。
生き残ったのはルイと飛行機のキャプテンであるフィル(ドーナル・グリーソン)、後部砲手のマック(フィン・ウィットロック)だけだった。
47日間耐え抜いたのは、ルイとフィルの二人でマーシャル諸島に流れ着く。しかし日本海軍に捕らえられルイは東京の大森捕虜収容所に送られた。
そこで、異常な暴力をふるう渡辺伍長(miyavi)から、ルイは特に目の敵にされる。
「一日も早く観たい」と待っていた作品だ。
反日映画だと日本公開が約一年ほど遅れたが、シドニーにいる娘からは「反日的な部分もあるけど、最後まで観たらわかるように、それだけの映画ではないよ」と教えてくれた。私も試写で観て、同じ感想を持った。
最初シーンは第二次世界大戦中に太平洋で飛行機から爆撃手として仲間たちと冗談話をしながら闘っているのだ。爆弾も落としていた(と、思ったが)。
そのシーンはかなり長く、その場面でアンジェリーナ・ジョリー監督は「被害者だけではないルイ」を観ている者に提示したかったのでは?と感じた。
渡辺伍長が「なんで彼だけを特別に乱暴するか」と疑問に思ったが、伍長も自分自身の中に言うに言われぬ「何か」があったのが伺えた。
それにしてもMIYAVIさんに白羽の矢をあてた監督の眼力には頭が下がる。メーキャップの力もあるが、不気味な目、冷淡さが表れた口元など、主演のオコンネルさん以上の存在感を示していた。
ジャック・オコンネルさんはこの作品より『ベルファスト71』や『名もなき塀の中の王』が日本では先に公開されているが、『不屈な男〜』では映画が進むにつれて痩せていく姿に、この作品が彼の代表作になると確信した。
始めから「反日映画」と思わずに観ていただきたい作品。