『ローマに消えた男』ロベルト・アンドー監督/イタリア、フランス/94分/11月14日よりYEBISU GARDEN CINEMA他にて全国順次ロードショー公開
イタリア最大野党を率いるエンリコ・オリヴェーリ(トニ・セルヴィッロ)は党の支持率は低迷、統一選挙の前に最大の危機に直面していた。大会で壇上に上がったエンリコに客席から「お前が党をダメにした」と猛烈な罵声があがる。
イタリア最大野党を率いるエンリコ・オリヴェーリ(トニ・セルヴィッロ)は党の支持率は低迷、統一選挙の前に最大の危機に直面していた。大会で壇上に上がったエンリコに客席から「お前が党をダメにした」と猛烈な罵声があがる。
その翌日、エンリコは、妻アンナ(ミケーラ・チェスコン)や腹心の秘書アンドレア(ヴァレリオ・マスタンドレア)にも黙って、突然ローマから失踪する。
アンナとアンドレアはエンリコの双子の兄弟ジョヴァンニ・エルナーニ(トニ・セルヴィッロ/2役)を思い出した。変人で哲学の教授であるジョヴァンニは、長らくエンリコとは疎遠で、心の病の治療が一段落して施設を出たばかり。
アンドレアが会ってみると、その風貌のそっくりさとエンリコとは正反対のジョヴァンニの弁舌の巧みさに驚き、彼をエンリコに仕立てる「替え玉作戦」を決意する。
これは去年のイタリア映画祭で『自由に乾杯』という題名だった。替え玉作戦はもちろん大当たりで、ドキドキする奥様や秘書さんを尻目になんなく党首をこなしていき、その演説はたちまちに支持者や大衆をも引き付け、低迷した支持率を回復させていくのだ。
失踪したエンリコさんは、パリに住む元恋人(今は旦那様の子どももいるが)のダニエル(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)の家に身を隠すなど、男としてちょっとだらしがない!が、意外にも彼は彼なりに活躍する……という展開。
設定は50歳だが、ちょっと老けているトニ・セルヴィッロさん。60〜65歳に見えたが性格がまるっきり違う2役を軽々と軽妙に演じきっていた。さすがだ。
そういえば、どこかの国の総理大臣が身体の調子が悪いと早々辞めてしまったが、また返り咲いている。まさか、今の総理大臣は替え玉ではないだろうな。それはない、その国は悪くなる一方だから…。