『わたしに会うまでの1600キロ』ジョン=マルク・ヴァレ監督/116分/8月28日よりTOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー公開
シェイル(リース・ウィザースプーン)はメキシコからカナダに連なる山脈に通じる、パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)という道を歩き始めた。特に今まで歩き慣れている女性でも、スポーツウーマンでもなかったシェイル。母親の病死、自分自身の人生の立て直しなどで「歩こう」と思ったのだ。
同じような映画が続いて公開されるが、この2作品、甲乙つけがたい佳作だ。どちらかと言えば『わたしに会うまで〜』のほうが、やることが素人臭く、失敗も多いからか身近に感じた。
あれもこれもと詰めた荷物が自分の力では背負いきれないほどなのに、靴は一足も余分になかったり、コンロが使えなかったり、そんな失敗が衝動的にこの「計画」を決めたことがよくわかった。
若いうちしか出来ない「無謀と思える旅」も歩いて、歩いて、いる間に過去の自分がふっと頭をよぎる。亡き母親の強さも自分の弱さもみんな彼女の歩く速度に合わせ深く理解して行く姿が清々しい。