1971年、紛争が激化している北アイルランドの首都ベルファスト。イギリス軍の兵士ゲイリー(ジャック・オコンネル)は、施設に預けている幼い弟に会いに行き、必ず帰ることを約束してこの地に来た。寝泊まりは廃校になった粗末な場所だった。この部隊の中に、また別の裏組織があることを垣間見る。
街はイギリスとの連合をのぞむプロテスタント住民と、イギリスから独立を求めるカトリック系住民よって分断され、過激なギャングや秘密の組織が、それぞれの側で主導権を握ろうとしていた。
パトロール中の彼の部隊が争いに巻き込まれ、そのどさくさに彼の武器が盗まれてしまう。彼は、泥棒を追っている間に、自分の軍隊からはぐれてしまい、敵の陣地に取り残されてしまう。
イギリスの若手人気俳優ジャック・オコンネルが主演。たった一人でなんとか生き抜こうとする必死さと心細さが伝わってくる。一見、地味な俳優さんだが、穏やかな面立ちの中で、追い詰められると口呼吸になり、半開きの口元に弱さが滲み出ていた。
戦闘地域と聞けばどんな危険なところだろうと思うが、普通の街並みだったり、公営アパートなどで銃撃戦をやっているので、市民を巻き込んだ厳しい現実がわかった。
敵に撃たれて逃げる途中、気を失うが、敵側区域の親子に助けられたり、自分をかばってくれた敵の若い兵士を死なせてしまったりという苦難の末に助かる。
その後、よく戦ったと軍から激励を受けるが、彼の心は傷ついたままだ。最後のシーンは幼い弟を引き取り、どこかに行くバスの場面で終わっていた。
☆今年三月にシドニーで観て、地味な作りだから日本で公開されるか気になった作品。主演のジャック・オコンネルはアンジェリーナ・ジョリー監督の『アンブロークン/日本公開未定』でも重要な役で出演している。