1870年代アメリカ。元兵士のジョン(マッツ・ミケルセン)はデンマークから新天地アメリカに来て7年。ようやく農場も軌道に乗ったので妻子をデンマークから呼び寄せた。赤ん坊の時からずっと会っていない息子は8歳。妻子の再会を喜びあうが......。
栄のセンチュリーシネマの初日1回目は「まだ2名分ありますが、かなり混んでいます」と言われたので2回目にした。その時もほぼ満員。あまり宣伝していなかったが、マッツ・ミケルセンの人気のおかげだろうか。
ストーリーの事の始まりは、乗り合い馬車に刑務所帰りの悪人と子分の二人と、やっと7年ぶりに妻と息子にあって自分の家まで行くジョン一家が小さな馬車に乗り合わせた事から始まる。
妻は知性的な美人で英語がわからない、息子は8歳で初めて会う父親に「どんな動物がいるの?熊もいる?」など、新しい土地で家族が暮らせることを楽しみにしている様子。待ちに待ったこの幸せが、乗り合わた気の荒い男たちのために一変する。
飢えたオオカミみたいになっているムショ帰りの男は、ジョンの妻とやりたいばっかりに、夫を馬車からほうり出す。馬車を追いかける夫は、道の先に死んでいる息子と御者の死体を発見する。
息子の死体を抱え、先を急ぐ夫…。犯人を追い詰め、撃ち殺したジョンだったが、その男はこの辺りを支配する悪名高いデラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟であった。妻はかわり果てた姿で亡くなっていた。
ずっと暴力、リンチ、撃ち合いの連続だ。満身創痍の復讐をマッツ・ミケルセンの哀しみと憂いのある顔から目が離せない。西部劇のシンプルな作りだが、人間の弱さ、欲深さに呆然となった。
殺された弟の愛人マデリン(エヴァ・グリーン)の美しさと口の傷が「なにも語らない」哀しみの過去を表していた。
☆マッツ・ミケルセン主演映画で『偽りなき者』が一番好きだ。二番目はニコラス・ウィンディング・レフン監督(『ドライヴ』の監督さんの作品で、3年前の北欧映画祭で上映された )で、若いマッツ・ミケルセンが、映画のことなら一日中話しているビデオ屋の店員レニーを演じている1999年の作品『ブリーダー』、そして今回観た『悪党に粛清を』が三番目になる。