雨が降り続く憂鬱なある日、妻と息子を殺害した男が連行されて来た。男は(佐藤B作)は、「自分が二人を殺した。私を死刑にしてください」と言い、殺した妻と息子のもとへ、すぐにでも行かせてくれと取り乱すのだった。
男を取り調べることになったベテラン刑事(中西良太)も、鬱病の妻を抱え、家庭崩壊の危機に直面していた。
取り調べる方、取り調べられる方、逆の立場にいながら、同じように追い詰められている二人が葛藤しつつ、取調室の中で息詰まるような尋問の時が流れていく。
俳優・中西良太が刑事役と脚本を手がけている。ベテラン刑事を補佐する斉藤陽一郎の三人だけの取り調べは、ほぼ、ずっと続く。
雨音をバックに犯人の矛盾点をつき真実を暴き出す。その取り調べは激することなく、淡々と続く。特別、思いがけない展開はないし、想像つく結末だが、飽きさせない脚本や同じ境遇におかれた二人しかわからない一体感が、観ている者の気持ちをがっちりつかんで離さなかった。
今日が初日で監督さん、中西氏、斉藤陽一郎さんがご登壇された。