『予告犯』中村義洋監督/119分/ 6月6日より東宝系列映画館にて全国ロードショー公開/ http://yokoku-han.jp
Tシャツ姿で新聞紙の袋を被った謎の男(生田斗真)がネットに奇妙な動画を投稿した。「明日の予告を教えてやる」と特定の会社や店を知らせるのだ。
理由はちゃんとあって、その会社や店の不正や金儲け一辺倒のあくどい内幕を告発して、予告したとおり制裁するというもの。ネットではすぐ炎上して、謎の男を「シンブンシ」と呼び、模倣犯まで出る始末。
警視庁サイバー犯罪対策課に所属するキャリア捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)はその捜査に当たる。
このところ若い男たちのやんちゃ映画を続けて観たが、この『予告犯』は若い男でもやんちゃじゃない。「やんちゃ」するのは最下層ではない。ここに出てくる男たちは最下層も最下層、よくぞ毎日屈辱に堪えて生きていってるなと同情してしまう。
一連の犯行の主導をするゲイツ(生田)、メタボ(荒川良々)、カンサイ(鈴木亮平)、ノビタ(濱田岳)、ヒョロ(福山康平)。皆、それぞれ頑張っても報われない若者たちを懸命に演じていた。
彼らの出会いは、その日の職を求めて集まる場所に「宿はある、力仕事が出来る者」と集めにきた斡旋屋の呼びかけに応じたのが始まりだ。仕事内容は闇の廃棄物処理場。劣悪な仕事だった。
そこで、はじめて5人が自己紹介して、身の上を語ったり、あだ名の付け合いをしたりして仲良くなる。
その5人が「シンブンシ」のメンバーとなり、一丸となって行動して行く。警察やエリート捜査官の息詰まる攻防、社会のさまざまな矛盾点を突き付けている。