1920年代にアメリカ・イリノイ州オタワ市にあるラジウム・ダイヤル社の工場では、高校を卒業したばかりの若い女性たちが、時計の文字盤に夜でも光るラジウムを塗る仕事についていた。
もちろん、彼女たちにはラジウムの危険性など知らされていない。無防備にも、筆先を舐めて尖らせてから文字盤に塗りつけるよう指導されていた。やがて様々な障害に苦しみ、その多くが若くして亡くなっていった。
単調な作品の作りだったが、考えればぞっとする話だ。いまでも保存している文字盤の時計に測定機を近付けると音がけたたましくなっていた。
『メイクルーム』森川圭監督 86分
AVの撮影現場で5人ものAV女優をメイクすることになった都築恭子(森田亜紀)。撮影現場のアクシデントで一人右往左往する彼女の「お疲れ様」の一日が始まる。
これは観ようか観ないでおこうかと迷った作品。でも名古屋だったらコロナまで行かないと観られないからと思い切って観たが、本当、面白かった。低予算で撮っているのが、そこは「低予算で撮っているAV作品」の現場だから何の不自然さもなく、脚本もよかった。
会場は八割がた男性だったが、絡み合うシーンなどはなく、言葉だけで的確に現場を体感させている。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015のオフシアター・コンペティション部門でグランプリを受賞した作品。渋谷は今日で終わりだが、全国のコロナ映画館で上映中。そこまで行く面白さや価値はあると思う。