『Mommy/マミー』グザヴィエ・ドラン監督/カナダ/138分/原題:Mommy/4月25日より新宿武蔵野館他にて順次ロードショー公開/http://mommy-xdolan.jp/
ハデ好きな中年女性ダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は個人家庭の掃除をしながら暮している。喜怒哀楽が激しく親しい友人もいない。
彼女には15歳になるひとり息子スティーヴ(アントワン=オリヴィエ・ピロン)がいるが、ADHD(多動性障害)で情緒不安定の上、乱暴なために施設に入っていた。だが、暴力事件を起こし入院先から引き取ってほしいと通告があった。彼を今住んでいる家に引取り母息子2人の生活がはじまる・・・。
これはシドニーで観た作品だが、英語字幕を追う(理解できないが・・・)のに疲れてしまったが、画面の正方形が横長に変わるなど「やってくれるな!グザヴィエ!」と驚いた。
始めに但し書きで
とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのはS-14法案だった。発達障害児の親が経済的困窮や身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障した法律である。ダイアン・デュプレの運命は、この法案によって大きく左右されることになる……。
が出てくる。
この15歳の少年は時には手がつけられない乱暴者で汚い汚い言葉をはく。だが瞬時に純情でわけ知りの少年になり、母親をメロメロにしてしまう。
息子スティーヴを演じたアントワン=オリヴィエ・ピロンのがま口のように広がる口元がとても印象的で、グザヴィエ監督の確かな演出力がわかる。
だが2013年秋に公開された『マイ・マザー』同様に、少年役をグザヴィエ本人にやってほしい!とも思った。『マイ・マザー』はあくまでも息子中心で描かれているが、新作は母親とお向かい住むの奥様が話の中心になる。
この2人の交流と対話が「かなめ」になっている。やりきれなくて重い内容ではあるが、そんな現実だからこそ、一瞬の幸せの時が光り輝いている作品だった。
☆『マイ・マザー』の感想
ケベックで暮らす17歳の少年ユベール・ミネリ(グザヴィエ・ドラン)は母親と二人暮し。学校生活や友人関係はほかの若者たちと変わらないが、母親との関係に嫌気が差していた。
彼の小さい時はきっと甘えん坊だったはず。「ママ」と呼んで、いないと大声で「ママ!ママァ〜!」って家中を探すような子どもだったろう。それが成長と共に「うるさい」存在になる・・・でもこれは世界共通だから珍しいことではない。
そんな普遍的で、誰しもが一時期通過するであろう「親離れ」を「大嫌いと大好き」の大きなふり幅でスタイリッシュに描いていた。