1977年、文化大革命が終わり、20年ぶりに解放されたルー・イエンシー(チェン・ダオミン)は、妻のフォン・ワンイー(コン・リー)と喜びの再会をするはずだったが、ワンイーは長年の心労で夫の記憶だけを失っていた。同居して慣れ親しもうとするが拒否され、仕方なくイエンシーは他人として向かいの家に住むことにした。
娘のタンタン(チャン・ホエウェン)との仲も険悪な状態だったが、助け合いながら妻に思い出してもらおうと毎日、毎日、収容所で書いた何百通もの妻への手紙を読み、帰らぬ夫を駅に迎えに行くと言ってきかない妻に同行する日々だった。
中国の名匠チャン・イーモウ監督の作品。コン・リーさんとは9年ぶりだ。
『初恋のきた道』では文字も読めない少女に毎日将来の夫の元へ弁当を運ばせていたが、9年後の本作は反対だ。夫が妻のところに通いつめる話。妻は一部ボケているが学もある。
忘却の中でも品位があるコン・リーさんの圧倒的な存在感、奥深い眼差しから悔いと真実の愛の行為を見事に演じたチェン・ダオミンさん、そして新人女優チャン・ホエウェンさんの清潔な顔立ちと素晴らしい舞踏・・・。
映画は好転せず終わっているが、それはそれでいいと思う。そこからやり直せばいい、恋を新たにゆっくり始めればいい、ずっと思い出さなくてもいいから3人仲良くしていればいい・・・。そんなことを願いながら書いている。
中国の歴史的な悲劇を背景に描かれた作品だが、夫婦愛に関しては世界中の共感を得るに違いない。