1987年、若き医師・航一郎(大沢たかお)はケニアの研究施設に派遣される。幼い時からシュバイツアー博士に憧れて医師になった彼にとってチャンスであったが、離島の診療所を継ぐ決意をした恋人の女医・貴子(真木よう子)とは離れることになる。
ケニアに派遣されてからしばらくして、戦闘地域の赤十字病院から1ヶ月だけでもいいから来てくれという要請を快諾した彼が、そこで見た思いも寄らない現実に衝撃を受ける・・・。
さだまさしさんの歌「風に立つライオン」をモチーフに、大沢たかおさんが熱望して企画されたものだ。
最初に、思い出を語る長崎大学医学部病院から同僚・青木かつひこ(萩原聖人)のシーンで、もうこの映画の主人公は死んでいるとわかる。一気に熱が下がってしまった。どんな展開が繰り広げられても、ミッキーおばぁの頭の中は「死んでしまったのだ」という悲しみが何回も繰り返し出てきてしまう。
少年兵たちが「オレは何人殺した」など自慢しあうような過酷な条件の中で、来る日も来る日も懸命に治療したり、話し相手になったり、勉強を教えたりしている航一郎は、ここに派遣されてきた看護師の和歌子(石原さとみ)と力を合わせて孤児院を作ろうと計画する姿に孤高のライオンさながらの崇高な精神に感動した。