大学生のアナ(ダコタ・ジョンソン)は学生新聞の取材のために、若き巨大企業のCEOグレイ(ジェイミー・ドーナン)を訪ねる。取材は同室の友人のかわりで、質問事項を渡されていた。
かわりに来たアナだったが、大きなビルの前で立ちすくんでしまう。秘書や働いている女性はモデルさんのように都会的な人ばかりだった。アナは気後れしてしまうが、実際のグレイはアナには優しく、緊張するアナに「君のことを知りたい」と言ってくる。
イギリスに住む主婦が趣味でネットに公開していた官能小説がもとになっている。作家も映画監督も脚本も女性だ。監督は『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』のサム・テイラー=ウッド。『ノーウェアボーイ〜』は若き日のジョン・レノンの実話で、育ての母と生みの母という2人の対照的な女性の間で揺れ動くナイーヴな青年時代を描いていて、とてもいい作品だった。
その監督さんが「官能小説」をどう映像化するのかと楽しみにしていた。が、エロさは小説ほどではないのでは?と思った。縛ったり叩いたりするセックスシーンは確かに長いが形ばかりで肉迫するものは感じなかった。
歪んだ性癖の27歳の男を演じるジェイミー・ドーナンは確かに身体も顔もいいが、その「歪んだ」ものがお顔の中に出ていない。
一方、平凡な大学生のダコタ・ジョンソンは素晴らしい肉体とちょっと田舎くさい(失礼!)顔立ちがエロっぽく、ぽってりした下口びるを噛む表情は、映画代の半分は元が取れるほど。
映像で観るエロと文字で読むエロの勝負は、文字によって妄想する人間の脳世界にはかなわないのではないかと思った。