1984年のロサンゼルス・オリンピックのレスリングの金メダリストのマーク(チャニング・テイタム)は貧しい生活を送っていた。メダリストといえども講演に出かけても人もまばらで謝礼は200ドル(2万円)。誰も地味な競技であるレスリングなど関心を示さない。
そんなある日、財閥のデュポン家の御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、ソウル・オリンピックの金メダルを目指したレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に入ってほしいと熱心に誘われる。
彼のトレーナーは、兄デイヴ(マーク・ラファロ)で、兄も金メダリスト。どうしても兄の「弟を思っての忠告や苦言」などで気持ちが晴れないでいたマークは、その話に飛びついてしまう。
1回目に観た時は身が固まってしまうほど「事実」の衝撃を受けた。そのニュースはきっと世界中を駆け巡ったと思うが知らなかった。早速、帰ってからパソコンでいろいろ調べてみた。
デュポン家の名前は知っていたが、詳しいことなどはわからなかったので記したい。
世界第三位の化学会社(初期は火薬)で、アメリカで「ロックフェラー」「メロン」と並ぶ三大財閥。南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦でデュポン社は巨大な富を得る。20世紀には化学会社にも進出して合成ゴムや合成繊維など数々の新素材を開発。調理器具に使われる「テフロン」もデュポン社の開発。
すごい家系の御曹司だ。それを『リトル・ミス・サンシャイン』『31年目の夫婦げんか』で人の良い役ばかりやっていたスティーヴ・カレルが演じている。「こんなにわし鼻だったかしら?」「こんな怖い顔の俳優さんだったかな?」とまたまたパソコンで写真を検索してしまった。
後から資料をみたら、あの鷲鼻はつけばなと書いてあった。
チャニング・テイタムは『マジック・マイク』でストリッパーを演じていたから身体は出来上がっていて見応えがあったし、兄さんのマーク・ラファロは2月7日公開の『はじまりのうた』でも穏やかな表情で出ている。
アカデミー賞5部門にノミネートされたから2回目の試写が緊急上映になったので、2度目は腰を落ちつかせじっくりみせて貰った。3人の男の生き方の違いなどであらわになる確執が、不気味さとともに浮き上がって観せてくれた。
少ししか出てこないがデュポン御曹司の母親(ヴァネッサ・レッドグレープ)の表情にレスリングに対する蔑視が見て取れた(わかる気がした・・・。)
3度の食事を2度にしても、是非劇場で観ていただきたい