46歳になる坂町晴彦(中井貴一)は元高校球児。離婚した妻が亡くなり、一人娘とも疎遠で張り合いのない生活を送っていた。
そんなある日、坂町の高校時代のチームメイト松川典夫の娘・美枝(波瑠)が訪ねて来た。松川とは音信不通だった坂町は、彼が震災で死んだことを知らされ、父の遺品からチームメイト全員に宛てた27年分の年賀状を見つけ、「何故、毎年書きながら投函しなかったか」を知りたいと言う。
彼女は元高校球児が再び甲子園を目指す「マスターズ甲子園」の事務局のスタッフで、坂町に大会に出てみないかと言う。松川典夫との過去を知っている彼は、内心、腹をたてて断ったが・・・。
マスターズ甲子園があるとは知らなかった。夜間高校の甲子園や高校球児中退者の野球チームがあるのは知っていたが、改めて野球のすそ野の広さに驚いた。
坂町はいろいろ考えるところがあって、昔の仲間のメンバーに年賀状を見せて、もう一度甲子園を目指そうと呼び掛ける。みんな中年太りで野球など今さらと気乗りしない返事だったが、人生に行き詰っている「今」を少しでも打開するチャンスという思いもあって、再び「甲子園」を目指すことになる。
その中年男たちのがんばりや、各々の家庭の事情も絡めて描かれていた。
「スポーツ根性感動もの」と期待せずに観たが、28年前に起きた事件の真実を解き明かしながら、死んでいった松川の男気に感じ入った。スポーツ嫌いなミッキーおばぁもホームランの「カキーン」という快音に痺れた。