ビルとビルの間の狭い道、家と塀の間など「隙間」をこよなく愛する大学生のヘイサク(町田啓太)は、向えのカーテンの隙間からチラッと見える女性の日常の「狭い光景」に我を忘れて夢中になっていた。当然、大学の勉強は進まず単位も危うい状態だ。
そんなある日、ひょんなことでその女性・文緒(佐々木心音)と知り合いになる。彼女は同じ大学の学生(彼は二部の夜間部)だった。
彼女は気さくな性格でヘイサクの友人も交えて急速に親しくなっていくが、彼女の生活をのぞき見ることに罪悪感を感じている彼は悶々としていた。
外国映画ではよく「あれま、女性一人住まいでカーテンもしないで着替え?」とか「SEXするならカーテン閉めなきゃ!」のシーンがよくある。
日本はあまりない。女性の一人暮らしの方は特に用心深い。だから「魂胆がありそう」とは始まりからわかっていた。でも、小心で純真なヘイサクの夢中ぶりと、罪悪感を抱えてオタオタする様子に「可愛い!今どきこんな純な子はいない!」と魅入ってしまった。
見ているならあちらからも「見られている」に気付かないちょっと頭の緩いヘイサクに『フィギュアのあなた』で見事な裸体を見せてくれた佐々木心音のコンビ。2人のSEXシーン(けっこう長い時間だが、初々しいシーンだった)は必見。
そのシーンの脇においてあるテーブルには、鹿〜張子の虎〜マトリューシカがムカデ人間風に繋がっている様に見えた。
一風、変わった青春映画だが、2人の別れ方もそれぞれが幸せに向っていて清々しい気持ちで観終わった。