最初の結婚に見切りをつけ、娘を連れてカリフォルニアにやってきたマーガレット(エイミー・アダムス)は、生活のためにビーチで似顔絵などを描いては売っていた。そのほとんどが大きな瞳でどこか悲しい目をした子どもを描いていた。
そこにパリで絵の勉強をしていたウォルター・キーン(クリフトフ・ヴァルツに出会う。意気投合した2人は瞬く間に結婚。彼女の特異な才能を見込んだ夫は「自分が売るから」と、どんどん描かせてたちまち絵は有名になる。が、本当の作者のマーガレットの名前ではなく・・・。
この絵、知っている。世界的に有名な絵、と言うよりポスターの状態で出回っていたと思う。インパクトのある目のことでは、つい先日観た『アナベル 死霊館の人形』の目にやられたばかり。だからこの大きな悲しげな目に、悲しさより怖さを感じてしまった。
アメリカの1960年代、女性は男性に「食べさせてもらう」時代。ましてや母子家庭など生きていく術はなかったから、結婚の申し出に即オーケーした気持ちが分かる。その時のマーガレットの嬉しくて仕方のない表情がとても切ない。
その結婚を冷静な目でみていた娘ジェーンがいい。ママのやることを心の「ビッグ・アイズ」で見守っていた。10歳くらいの子役から15歳の娘時代の2人でやっているが、この2人がとても『6才のボク〜』のように自然だった。(いただいたプレスにもネットにもお名前が書いてなかった)ママ・マーガレットがこの娘のためにと奮闘した人生だから、くず扱いにはしてほしくなかった。
一番最後の裁判シーンは2015年名場面ベストテンに入るくらい面白く、名・裁判長の名案がいい。いいもの観た満足感で公開したら絶対にもう一度!と思っている。
※マーガレットさんは87歳。今も北カリフォルニアで絵を描き続けていらっしゃる。