ロンドンのケニントン地区の公務員の独身中年男・ジョン・メイ(エディ・マーサン)の仕事は、孤独死した人の葬儀を執り行うこと。几帳面な彼は、死者の家族をいろんな方法で、骨身惜しまず捜し出して、葬儀を丁寧に執り行なっていた。
彼自身の生活といえば、無駄のない簡素な住宅に毎日、毎日、判でついたような同じ生活を送っていた。そんなある日、年配のアルコール中毒患者・ビリー・ストークの遺体がジョン・メイのすぐ傍のアパートで発見された。
こんな仕事をしている自分のすぐ近くで、人が孤独死したことにショックを受ける。そこに、もう一つショックなことに「仕事に時間をかけすぎる」と言われ解雇を告げられる。
最後の仕事となったビリー・ストークのために、3日間の時間を貰い、ビリーの親戚や知り合いを探す旅に出るのだった。
あ〜、素晴らしい作品だった・・・主役を演じるエディ・マーサンはマイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク』の端役で、私の頭にインプットされた俳優さん。娘の婚約者としての登場だったが、その地味な男から目が離せなかった。
そして『思秋期』で暴力夫、『アリス・クリードの失踪』では誘拐犯・・・地味がとりえの俳優さんと言ってしまえば失礼だが、この方の地味さは筋金入りだ。
彼は旅の途中で出会った人たちと交流するうちに少しずつ明るくなっていく。このゆっくりな変わりようが本当によく描かれている。最後は思いがけない展開で胸を打つが、それが不幸せなこととは思わなかった。