周りには一流のホテルマンと言っている徹(染谷将太)は、実のところ、しがない歌舞伎町ラブホテルの店長。同棲中の彼女でミュージシャン志望の沙耶(前田敦子)とは倦怠期。
その日も勤めるラブホテルで客のわがままや従業員の不平不満で一日が始まったが…。
135分、あっという間だった。限られた場所「ラブホテル」に出入りする人間模様が面白い。登場するのは…これは書かないほうがいいかな? 何組かの曰く因縁ありの人々の面白さだから観てのお楽しみだが、二つ、不満があった。そのカップル?だけ説明させてほしい。
店長の実の妹が「AV女優」として、このラブホテルにやって来て「撮影」をする。もちろん、妹は兄が店長などしるよしもない。なにせ「一流ホテルマン」なのだから。
兄妹はまさかの対面で「二人だけて少し話させてほしい」となる。その時の会話が、妹がどうしてAVをやっているかを説明するのだが、兄妹ならそんなこと「当然知っている」はずのことを言う。例えば「3月11日の地震で○○は死んで、○○は病気になって…」と兄に向かって言う。
普通なら「アニキもあの地震の時の家の状況、知ってるでしょ?それなのにアニキは手助けもしてくれない!私一人で…」ぐらいじゃないかな。観ている者への説明台詞になっているのが「?」だった。
それにもう一つ。
従業員・鈴木里美 (南果歩/必死に働く姿◎)は、夫婦共々、ある事件の重要参考人。あともう少しの時効まで夫を隠くして生活している。そこに、不倫の刑事さんカップルがラブホテルに。
女刑事は「あの顔に見覚えが!」と彼女に問い詰める。それはないんじゃない? 私が刑事なら(また、始まった)後から内偵を入れればいいこと。脚本の詰めの甘さが感じられて残念な作品でもあった。
一番印象に残った演技をみせてくれたのは南果歩さんと純真な家出娘・我妻三輪子。前田敦子さん大好きな女優さんだが『もらとりあむタマ子』のほうに軍配が上がるように思う。